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今月の回答者

初級
高橋 秀和 : 日経バイトBest Way担当
中級
山田 努 : SRAネットワーク&サービスカンパニー オープンソースソリューション部 オープンソースサポートグループ主任

Q 初級:
Windows XPClearTypeの見映えを変える

Windows XPでClearTypeを有効にしてみました。英語のフォントがきれいに見えるようになったのですが,やや滲んでいて落ち着きません。もう少しくっきりさせるにはどうしたらいいのでしょうか?

A
画面●Windows XPの「ClearType」の見映えを調整するWebサイト
ClearTypeは液晶パネルの画素を細かく制御して,画面解像度以上の解像度でフォントの輪郭を滑らかに見せる技術です。カラー液晶パネルのドットは赤・緑・青の3画素によって構成されているため,画素数は画面解像度の3倍あります。ClearTypeはドット単位ではなく画素単位でフォントの輪郭を整えることで,本来であれば輪郭のギザギザ(ジャギー)が目立つような小さなフォントであっても滑らかな輪郭補正処理がかけられるようにしています。

 ClearTypeの効果が出ないケースとしては考えられるのは,液晶パネルの画素の並びが「BGR」という配列になっている場合です。この配列は一般の液晶パネルが採用する「RGB」という配列とは別のものです。初期のClearTypeはBGRの画素配列に対応していませんでしたが,Windows XPのService Pack 1以降では,設定できるようになりました。

 RGB配列とBGR配列の切り替えは,米Microsoft社のWebサイトから実行できます(画面[拡大表示])。ここでClearTypeのかかったフォントのコントラストを調節することで,お使いの環境でよりくっきりとした色調になるように調節することも可能です。

 なお,そもそもディスプレイがCRTの場合は1ドットが3画素で構成されている訳ではないため,ClearTypeの効果はほとんどありません。解像度と画素数の比が一致しているディスプレイ装置でなければ,ClearType処理の指定通りに画素を制御できないからです。

(高橋)

Q 中級:
Linux 2.6クライアント用途でのメリットは?

Linuxカーネルの新しいバージョンが出るようです。マルチCPUなど大規模システムでの利点は分かるのですが,クライアントのデスクトップOSとして見たときの魅力はどのあたりにあるのでしょうか?

A

表●Linux 2.6.0の主な強化点
2003年7月14日にLinux kernel 2.6 のテスト版(2.6.0-test1)がリリースされました。同年12月17日に正式版の2.6.0がリリースされています。カーネル2.4からの大きな変更点をいくつかピックアップすると,大規模なマルチCPU構成での性能向上,ファイル・システムの強化,ハードウェア管理などが挙げられます([拡大表示])。

 これらの変更点を見ると,全体としてサーバー用途の大規模システムにおけるスケーラビリティの確保や性能向上が期待できる内容になっています。クライアント用途のユーザーにとっては直接的な利点はあまり見えません。それでも,ディスク・アクセス面での改善や,スケジューラ,プリエンティブ・カーネルによる全体的な速度やレスポンスの向上が期待できるなど,性能面での向上が大きいと考えられます。

 中でもカーネルのコア部分の変更として,プリエンティブなカーネルがあります。これまでのLinuxカーネルは,あるプロセスからカーネルへのシステムコールが発生した場合に,そのシステムコールが完了するまでは他のプロセスからのシステムコールは待たされることになっていました。この実装ではカーネルが管理するハードウェア資源の排他制御がシンプルなものになる半面,即座に実行すべきシステムコールが待たされてしまう場面が出てきます。カーネルがプリエンティブになることで,システムコールの発生と同時に再度スケジューリングが発生し優先度の高いプロセスを確実に実行できるようになります。ユーザーからは,各プロセスの応答速度が向上したように見えます。

 ネットワーク面でもクライアントでのメリットが高い機能が追加されました。CIFS(Common Internet File System)のクライアント機能です。CIFSはWindowsのファイル/プリンタ共有プロトコルで,これによりWindowsのファイル・サーバーにアクセスする手間が軽減されます。

まだ安定しないACPI

 デスクトップOSとしてLinuxを見たとき,ハードルが高いのはデバイス・ドライバを中心とするハードウェア管理です。数多くあるマザーボードのBIOS,各種コントローラ・チップをすんなり動作させるのは一筋縄ではいきません。カーネル2.6では,現在主流の電源管理機構「ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)」に対応しました。ハードウェアの情報をOSに吸い上げ,その情報を基に電源を管理するモジュール群です。Linuxコミュニティへのフィードバック状況を見る限りでは,カーネル2.6はACPIについてまだ問題を抱えているようです。

 今は正式にリリースされて間もないので,初期バージョンでは不安も多いでしょう。やっかいなのは,モジュール関係が変更されているので関連するプログラム群のアップグレードも必要な点です。カーネルをアップデートしたために動作しないプログラムが出てきます。やはり一般に広まるのは,各ディストリビュータが正式に採用し,サポートが本格化されてからになるかと思われます。

 すでに2.6テストバージョンの提供を開始しているディストリビュータもあります。例えば独SUSE LINUX社が「SUSE LINUX 9.0」を,ターボリナックスが「Turbolinux 10 Desktop」をそれぞれ2003年10月から出荷しています。カーネル2.6の不具合に関する情報が豊富ですので,こちらを試してみるのも良いでしょう。

 もちろんカーネル2.6へのアップデートはどのディストリビューションでも可能です。カーネル開発者にフィードバックが可能なくらいの技量がある方,あるいは新機能や性能に興味がある方は自己責任で導入する楽しみを味わってみてはどうでしょうか。

(山田)