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シリアルとパラレルのハイブリッドに

図6●DDRのデータ入出力方法
1クロック当たり,クロック信号の立ち上がりで1ビット,降下で1ビットの計2ビットのデータを送受する。信号線の配線長や折れ曲がりによってクロック信号とのズレが生じるため,「ストローブ信号」と呼ぶデータ送受を通知する調整用の信号を使用する。
図7●米Rambus社の「XDR」のデータ入出力方法
1クロック当たり,クロック信号の立ち上がりで4ビット,降下で4ビットの計8ビットのデータを送受する。16本ある信号線ごとに設けた「位相制御回路」によって,1クロックを256分割した時間幅で信号送信のタイミングを調節する。システム起動時にあらかじめ走査した実際の信号遅延時間に応じて,ずらす時間を決める。

 しかしFB-DIMMは,AMBの性能が頭打ちになるという問題を抱える。FB-DIMM仕様に準拠するAMBは最大4.8GHzで動く。多くのFB-DIMMを搭載した際の発熱が問題になる。サーバー用途ではともかく,パソコン用としては搭載しにくい。また,メモリーチップのインタフェースのパラレル信号をシリアル信号に変換するため,AMBの動作周波数はメモリーチップのインタフェースの6倍になる。例えばDDR3-1067では約6GHz,DDR3-1600では9.6GHzに達する。基板に使われる銅配線の動作周波数は10GHz前後が限界とされている。FB-DIMMがDDR3-1600のメモリーチップを駆動できるかは未知数だ。

 そこで浮上するのが「パラレル伝送方式のスキューをなくす」という解決策。

 スキューは複数の信号線を流れるデジタル信号の到達時間のズレを指す。最初に届く信号と最後に届く信号の時間差が大きくなると,ビットの判別が難しくなる。そこでスキューの影響を排除するために,現在のDDR2では「ストローブ信号」と呼ぶデータ送受を通知する調整用の信号を使う(図6[拡大表示])。送信側はデータ信号とストローブ信号を同時に送る。受信側はストローブ信号のタイミングに合わせてデータを取り込む。

 しかしストローブ信号を使うとしても,ストローブ信号とデータ信号は完全に同じタイミングで到達するわけではない。動作周波数が上がればわずかな遅延やジッターで0と1の判別に失敗する。「3G~4GHzを目指すのは無理がある」(ラムバスの直野典彦社長)。

 このスキューを事実上なくして3GHz超の動作周波数を実現したのがRambusの「XDR DRAM(eXtreme Data Rate DRAM)」。送信側のデバイスが信号線ごとに信号送信のタイミングをずらす「Flex Phase」と呼ぶ機構を搭載することで,受信側のデバイスに同時に信号を到達させる(図7[拡大表示])。

 Flex Phase機構は,16本ある信号線ごとに設けた「位相制御回路」によって,1クロックを256分割した時間幅で信号送信のタイミングを調節する。システム起動時にあらかじめ走査した実際の信号遅延時間に応じて,位相制御回路によってずらす時間を決める。これによりスキューを抑える*7

 XDRはメモリー・コントローラとメモリーチップをポイント・ツー・ポイントで接続する。基準となる300M~500MHzの外部クロックを基に1.2G~2GHzの内部クロック信号を生成する。このクロック信号の両エッジに同期してデータを転送することで,1端子当たり最大2.4G~4Gビット/秒のデータ転送速度を実現する。2005年内に6.4GHz,2006年には8GHz動作のXDRを出荷する予定だ。

(高橋 秀和)