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視点4. 「どこでもつながる」は重要

 数年前,通信事業者各社が無線LAN公衆サービス,いわゆるホットスポット・サービスを一斉に開始した。当時はマスコミで大々的に取り上げられ,将来の通信基盤を担うインフラとして期待されたが,思うようにユーザー数を増やせていない。

 筆者は,この不振の原因を「エリアが狭い」ことにあると考えている。エリアを選ばず,どこでも無線LANアクセス・ポイントに接続できるようになれば,公衆無線LANサービスのユーザーはもっと増えるに違いない。

 筆者の知人の中には,公衆無線LANサービスが流行らない理由として「携帯電話における電話やメールのようなキラー・アプリケーションがない」と言う人がいる。しかし,これは本質的ではない。家や会社と同じような速度で屋外でインターネットにアクセスできる環境は間違いなく魅力的だ。最近,フルブラウザを搭載した携帯電話/PHSが話題になっているが,これは家や会社と同じ環境をどこでも使えることへのニーズと見ることができる。

 このほか,「パソコンやPDAを持ち運ぶユーザーはそもそも少ないから,流行らない」という声を聞くこともある。しかし,なにも無線LANを使えるのはパソコンやPDAだけではない。最近では携帯電話や,ソニー・コンピュータエンタテインメントのPSPのような小型ゲーム機に無線LANインタフェースが載っている。どこでもつながる無線LANインフラができれば,無線LANインタフェースを持ったデジタルカメラや音楽プレーヤなどの登場が期待できる。

 「無線LANは高速移動に向かないからダメだ」と言われることもある。確かに,そういう面があるとは思うが,ユーザー数が増えない決定的な要因ではない。なぜなら,多くの人は高速移動中の通信をそれほど求めていないからだ。移動が仕事の一部になっている営業マンや新聞記者などは「どんな状況でもつながる」ことに強い魅力を感じるだろうが,多数のユーザーにとっては実はそれほど重要ではない。また,「どこでも」が実現できれば「どんな状況でも」を実現するのは難しくない。例えば,電車の中にアクセス・ポイントを置き,電車と外部は別のネットワークで接続すればいいのだ。

 以上のように,無線サービスで求められるのは,まずなによりも,「どんな場所でもつながる」である。技術者はその通信サービス/技術の将来性を見抜くとき,カバーエリアを広げられる可能性があるのかをまず考える必要がある。