IT(情報技術)関連の技術者がWebブラウザを使って,自分のスキルを診断できるようにするサービスが注目を集めている。サービスの利用者は,自己評価と上司による評価とのギャップを分析したり,他社の社員の平均値と比較する,といったことが可能だ。人材育成の方法を模索する企業にとっては,自社の技術者の技術レベルや弱点を手軽に把握でき,診断結果に応じて効果的な教育・研修を実施しやすい,という利点がある。
企業がIT関連の人材育成を効果的に行うための手法として,個々の技術者が持つスキルの現状や弱点を評価するサービスに注目が集まっている。なかでも利用企業が増えているのは,回答者がWebブラウザを使って自分のスキルを診断できるようにするサービスだ(表1[拡大表示])。診断結果は,回答後ただちにWebブラウザに表示される。企業の人材育成担当者などが,自社の技術者の診断結果を参照・分析することも可能だ。
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表1●インターネットを利用した主なITスキル診断サービスの概要 |
このようなITスキル診断サービスを提供しているウィルソン・ラーニング ワールドワイド(東京都千代田区),グローバル ナレッジ ネットワーク(同新宿区),富士通ラーニングメディア(同大田区)の3社は,「最近になって,着実に需要が高まっている」と口をそろえる。
富士通ラーニングメディアが4月に開始した「SkillCompass/ITpro」は,現在までに約30社が利用した。その多くは,システム・インテグレータやソフト開発会社といったIT関連企業で,社員1万人規模の大手も含まれるという。同社の池田稔研修事業部長は,「2000年度中に利用企業を100社程度まで増やす」と意気込む。
「CMS/ITpro」を昨年から提供しているウィルソン・ラーニングの飯塚浩木副社長は,「IT関連企業に混じって,最近は一般企業がITスキル診断サービスを利用するケースも増えている。特に大規模なシステム部門を抱える企業が,人材育成の一環として利用することが多い」と話す。
今年10月に「Oracle」に関する知識やスキルを診断するサービス「NetClass iNavigator」を開始する日本オラクルも,こうした需要の高まりを受けて,「将来は当社の製品だけでなく,インターネットやセキュリティなど,幅広いIT分野を対象にすることも検討している」(教育・研修事業を担当する佐藤武執行役員研修本部長)。