●CATV事業者が提供するインターネット常時接続サービスを一般の企業で活用する事例が増えてきた。

●CATVインターネットのサービスは,数百k~数Mビット/秒の高速なデータ通信を可能にする。料金も安価な定額制だ。

●専用線からCATVのサービスに移行することで,毎月のインターネット接続コストを半減させた企業も出ている。

 ケーブル網を各家庭まで伸ばし,テレビ放送を提供するCATV(ケーブル・テレビ)。このケーブル網を,インターネットに接続するためのアクセス回線として利用するのが,いわゆる「CATVインターネット」だ。ユーザーは数百~数Mビット/秒という高速なインターネット常時接続サービスを比較的安価に利用できる(図1[拡大表示])。

図1●今回取り上げる「CATVインターネット」の位置づけ。CATV(ケーブル・テレビ)のインフラを利用して,インターネット接続サービスを提供する。通信速度は数百k~数Mビット/秒と高速だ。安価なインターネット常時接続サービスの有力な選択肢として注目を浴びている

 CATVインターネットの普及は急速に進んでいる。国内のユーザー数は昨年末からの半年間で2倍に増え,33万ユーザー(2000年6月現在)となった。

 日本で最初にCATVインターネットを始めたのは,東京都西部を主な提供エリアとする武蔵野三鷹ケーブルテレビ(東京都三鷹市)。1996年10月からインターネット常時接続サービスを提供している。その後,各地のCATV事業者が続々と参入し,現在は全国のCATV事業者のうち120社程度がサービスを提供している。

 CATVインターネットは一般に,個人向けのサービスと見られているが,企業でも十分に使えるものだ。確かに今までは各事業者とも,CATV自体の主なユーザーである個人をターゲットにしていた。しかし個人向けの場合は夜間の利用が多く,昼間の時間はせっかく用意したバックボーン回線がそれほど使われない。そこで,昼間に空いた帯域を活用するために,企業向けにサービスを積極的に展開する事業者が出てきた。

 例えば,現在約1万ユーザーにインターネット常時接続サービスを提供している日本最大のCATVインターネット事業者,タイタス・コミュニケーションズ(東京都渋谷区)は,今年7月に企業向けサービス・メニューを拡充。最大通信速度が双方向1.5Mビット/秒で月額9万5000円というメニューを追加した。これは,通常の1.5Mビット/秒の専用線接続サービス(約30万円)よりも圧倒的に安い。

 ほかに,武蔵野三鷹ケーブルテレビやシー・ティー・ワイ(三重県四日市市)なども,企業向けサービス・メニューを充実させている。

(高下 義弘)