インテル(東京都千代田区)は10月から,自社のデータセンターで預かった顧客の情報システムに関する運用管理サービスを始める。インテルの要員がインテル製ツールを使ってシステムを監視し,各種障害時の復旧作業などを請け負う。単なるセンターの場所貸しだけでは,付加価値が低いと判断した。

 運用管理サービスの名称は,「AppChoiceマネージド・ホスティング・サービス」。運用管理の対象になるのは,インテルが規定している標準プラットフォームを使って構築されたシステムである。ユーザーが自社で用意したアプリケーションをインテルのデータセンターにあるサーバーへ導入すると,インテルの要員が運用管理を代行する。運用管理サービスのために,インテルは50人以上の社員を新規に雇用した。

 インテルが選定したプラットフォームは,ハードウエアがデルコンピュータ(川崎市)のパソコン・サーバーDell PowerEdge2450と同6350,サンマイクロシステムズ(東京都世田谷区)のUNIXサーバーSun E420R。OSは,マイクロソフト(東京都渋谷区)のWindows NT4.0 Enterprise EditionとSolaris2.6,データベースはマイクロソフトのSQL Server7.0 Enterprise Editionと日本オラクルのOracle8iなど。

 新サービスでは,上記のプラットフォームに対して,故障部品の交換やバグ修正などの保守作業を請け負う。さらに,米インテル製のモニタリング・ツールIMRSを使って,プラットフォーム上で構築した顧客のアプリケーションの稼働をリアルタイムで監視する。

 インテルの傳田信行会長は,運用管理サービスを開始する理由を,「単なるセンターの場所貸しは今後需要が伸び悩むし,サービス価格も安い。運用管理を請け負うことで,付加価値の高いサービスに重心を移す」と語った。

 インテルは6月に自前のデータセンターを都内に開設した(場所は非公開)。ただし,当時のサービス・メニューは,顧客企業が自社アプリケーションをインテルのセンターに持ち込んで,顧客が自分で運用管理するものだけだった。

 データセンター・ビジネスには,インテルをはじめ多くの企業が参入しつつあるが,コンピュータ・メーカー系のセンターを除くと,運用管理サービスはまだまだ手薄である。米データセンター最大手のエクソダス コミュニケーションズ(東京都新宿区)が「マネージド・サービス」の名称で運用管理サービスを提供しているくらいである。

 ユーザーにとっては自社で運用管理の担当者を育成するか,システム開発から運用まで丸ごと請け負うメーカー系のデータセンターを利用する以外の選択肢がなかった。インキュベータとしてインターネット・ベンチャーの技術支援に当たるサンブリッジ テクノロジー(東京都渋谷区)の宮野豊取締役は,「データセンター業者はセンターのセキュリティ設備やネットワークの太さに関しては胸を張って説明するが,日々の運用管理体制を聞くと一様に口をつぐむ。それこそ一番気になることなのだが」と指摘する。

 この問題を解決するために,メーカー系でないデータセンター各社は,運用管理サービスの専門企業などと提携しつつある。データセンター専門に運用管理サービスを提供しているサイトロック(東京都目黒区)は,「主要なデータセンター業者のほとんどから提携の申し出を受けている」(サイトロックの佐々木雅志マーケティング本部長)ほどだ。

 こうした中,インテルはいち早く運用管理サービスを「自前主義」に切り替え,人員を確保した。目論見通りにきっちりしたサービスを提供できれば,インテルはデータセンター事業の今後の成長に向け大きな武器を手にしたことになる。

(小林 暢子)

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