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 10月12日に開業するインターネット専業銀行「ジャパンネット銀行(東京都新宿区)」の勘定系システム構成が明らかになった。同行は,パッケージを使わず,ゼロから勘定系システムを開発した。約30台のUNIXサーバーで動かす開発は富士通が担当した。総投資額は約50億円である。

 ジャパンネット銀行は,さくら銀行や住友銀行,富士通,日本生命保険などが共同出資しており,国内初のインターネット専業銀行として,10月12日からサービスを開始する。

図●ジャパンネット銀行の勘定系システムの概要。システム・アーキテクチャは3層構造。ほとんどのアプリケーションを独自開発した

 同行のサービスを支える勘定系システムはゼロから独自開発した。勘定系は,データベース,アプリケーション,フロントエンドの3層構造をとる([拡大表示])。採用したハードウエアはすべて,Solarisを搭載した富士通製のUNIXサーバー機である。本番系だけで,約30台ある。待機系や開発機なども含めると,60台以上のUNIXサーバーを用意している。これらのハードやソフトを含めたシステムの総投資額は約50億円。

 ジャパンネット銀行でCIO(情報戦略統括役員)を務める吉田俊夫常務は,「勘定系は100万口座まで管理できるように設計した。インターネットを介した応答時間は最長5秒を目指している」と説明する。

 データベース層には,統合データベース・サーバーを配置し,顧客データや取引履歴,預金残高などのデータを一元管理する。採用したデータベース・ソフトは日本オラクルのOracle8iである。

 アプリケーション層では,預金や国内為替,小口ローンなどジャパンネット銀行が手がける商品・サービスを処理するための複数のアプリケーション・サーバーが動いている。いずれのアプリケーションもC言語で開発した。口座振替用アプリケーションも開発済み。「東京電力や日本生命,NHKなど一部の会社への口座振替サービスをこの10月から提供する計画で,順次,振替先を増やしていく」(吉田常務)。このほか,「決済サービスも年内には提供する予定で,システム開発を進めている」(吉田常務)ところだ。

 フロントエンド層は,顧客との取引手段に応じて,ゲートウエイ・サーバーを用意している。インターネット接続用のWebサーバーと,NTTドコモのiモード・サービス経由の取引データをさばくためのiモード接続用サーバーを置いた。

 インターネット接続用のWebサーバーには,処理の遅延やシステム障害を防ぐため,アプリケーション層やデータベース層に負担をかけない工夫をした。「処理内容に応じてWebサーバーで処理するか,アプリケーション層のサーバーに接続して処理するかを判断して,インターネット接続用のWebサーバー上でデータを振り分ける仕組みにした」(吉田常務)。

 例えば,商品・サービスや会社案内に関するカタログ情報を参照する際は,すべてWebサーバーで処理する。預金残高やローンの支払い状況など勘定系データを参照・更新する場合に限り,アプリケーション層のサーバーにつなぐ仕組みにしている。

 電話を使ってサービスを利用する顧客向けに,テレホン・バンキング用システムも作った。対外接続系システムとして,ジャパンネット銀行外部のATM(現金自動預け払い機)と,全銀システムとをつなぐためのゲートウエイ・システムも用意した。テレホン・バンキング用システムと全銀システムは自社開発ではなく,富士通製のパッケージを活用した。

 ATMを持たないジャパンネット銀行は,さくら銀行と,さくら銀行がコンビニエンス・ストア「am/pm」に設置した合計5500台のATMを活用する。今後は,「他行のATMも活用できるように作業を進めていく計画」(吉田常務)である。

 ジャパンネット銀行は,今回開発した勘定系システムの運用管理を,さくら銀行の情報システム部門に,アウトソーシングする契約を結んでいる。ただし,さくら銀行本体のシステムと,ジャパンネット銀行の勘定系システムが,「顧客データを共有することはない」(吉田常務)。ジャパンネット銀行は災害対策として,関西地方に待機系システムも用意し,富士通のシステム・センターで管理する。  (戸川 尚樹)