マイクロソフトのスティーブ・バルマー社長兼CEO(最高経営責任者)と,サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長兼CEOがそれぞれ,記者会見した。両社の事業に大きく影響を与えるとみられるLinuxについて,両CEOは,「影響なし」,「プラス材料」と余裕のコメントをした。
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写真●サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長兼CEO(左)とマイクロソフトのスティーブ・バルマー社長兼CEO(右)。 9月下旬に相次いで来日した |
マイクロソフトのバルマーCEOは,「IBMのLinux強化策をどう見るか」という質問に答えて,バルマー流のLinux観を述べた。
まず,ハイエンド・サーバー市場について触れたバルマーCEOは,「Linuxはまるで影響力はない」,と切って捨てた。「ハイエンドでは,メインフレームとUNIXサーバーが競っている。ここへ我々も打って出ようと,Windows 2000 Datacenter Serverを投入する」。
ローエンドのサーバー市場はどうか。ここでは,Linuxは着実にユーザーを増やしている。しかし,バルマーCEOは,「ローエンドのサーバー市場でもLinuxが成功するとは到底思えない」と主張。「この市場のユーザーは自分でシステムをサポートする要員を抱えられないところが多い。ところが,Linuxはユーザーが自分自身でシステムをサポートしていくモデル。だから普及しない」(バルマーCEO)。
最後にバルマーCEOは,「ハイエンドもローエンドもだめとなると,IBMのLinux戦略は何を狙っているのか,わたしには理解できない。よって論評のしようがない」と締めくくった。
一方,サンのマクニーリCEOは,「Linuxはサンにとって脅威ではないか」,「IBMのLinux戦略をどう思うか」という一連の質問に次のように答えた。「Linuxはサンにとって脅威ではない。Linuxは,OSで収益を上げようとするものではない。サンも同様だ。サンはOSで儲けていない」。
「そもそもLinuxはUNIXの一つ,大好きだ。Linuxは無料だし,ソース・コードは公開されている。当社のソフトウエアは,みなLinux上で動く。JiniもJavaも,Linux上で稼働する」。
続けてマクニーリCEOは,「我々とLinuxはいわば,ヨットと風の関係にある。Linuxが普及すればするほど,UNIXの世界が広がる。すると,Linuxのリーディング・サプライヤであるサンのサーバーがさらに売れる」という理屈を披露した。
「インテル・プロセサ上で稼働するサンのSolarisは,Linuxと競合しないか」という質問には,「インテル用のSolarisは今後も継続して提供していく。SPARC用Solarisの顧客を拡大するための有効な手段と考えているからだ。インテル用のSolarisは,ネットワークから無償でダウンロードできる。最近は,サンのサーバーをまだ使っていないユーザーが数多くダウンロードしている。こうしたユーザーが,SPARC上で稼働するSolarisに移行していくだろう」という回答だった。
IBMについては,「Windows 2000,OS/2,AIX,OS/400,OS/390,そしてLinux。OSを抱え過ぎだ。もっと厳選したほうがよい」と助言した。