インターネット接続サービスを提供するベンダーが相次いで,顧客企業が送受信する電子メールのウイルス対策をメニューに追加し始めた。接続センター内に設置したウイルス対策専用のサーバーで電子メールをチェックし,ウイルスを検出したら直ちに駆除する。メール・サーバーのホスティング・サービスのオプションとして提供するケースが多いが,メール・サーバーを自前で運用する企業向けのサービスも登場し始めた。
「通信回線の帯域幅を広げたり,利用料金を下げるだけでは,顧客企業は満足しない。付加価値を高めるために,当社はウイルス対策に力を入れることにした」。大手ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)のピーエスアイネット(PSINet,東京都品川区)で,マーケティング本部プロダクト マーケティングマネージャーを務める仁枝かおり氏はこう話す。
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表1●主な電子メールのウイルス対策サービス。メール・サーバーを自前で運用する企業向けのサービスも提供しているのはJBCCとPSINetの2社である |
今秋に入り,インターネット接続サービスの一環として,電子メールのウイルス対策サービスを提供するベンダーが増えてきた(表1[拡大表示])。いずれも,ベンダーの接続センター内にウイルス対策専用のサーバーを設置。顧客企業が送受信する電子メールをチェックし,ウイルスを検出したら即座に駆除する。このサービスを利用する企業にとっては,「システム管理者が,手間のかかるウイルス対策の作業から解放され,本来の業務であるサーバーやネットワークの監視・運用管理に専念できる」(PSINetマーケティング本部の青木大知氏)という利点がある。
運用形態に応じて2種類のサービス
ベンダー各社が手がけるウイルス対策サービスは,大きく二つのタイプに分けられる。一つは,メール・サーバーのホスティング・サービスを利用している顧客企業を対象に,そのオプション・サービスとしてウイルス対策を実施するもの。もう一つは,メール・サーバーを自前で運用している顧客企業向けのウイルス対策サービスだ。
前者のサービスは,先行したPSINet,大塚商会,日本ビジネスコンピューター(JBCC)に続いて,この10月にドリーム・トレイン・インターネット(DTI,東京都港区)が参入。日本ユニシス情報システム(東京都江東区)も12月に開始する。後者のサービスは,PSINetとJBCCが他社に先駆けて,10月に開始した。
大塚商会を除く4社は,ウイルス対策サービスを有償で提供している。料金は,ウイルス対策の対象として登録するメール・アドレスの数によって決まる。1アドレス当たり500円あるいは1000円程度が相場だ。
これに対して大塚商会は,メール・サーバーのホスティング・サービス「α-Mail」の基本サービスとして,無償でウイルス対策を行っている。その理由について,同社の大賀徹郎Web事業推進部次長は,「メール・サーバーのホスティング・サービスでは,ウイルス対策は不可欠だ」と話す。