●情報システムを構築する際に,ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスを利用する企業が増えている。

●ASPサービスを利用すると,ハードやソフト,通信機器の初期導入コストや運用コストを大幅に削減できる。

●グループウエアなどの情報系システムはもちろん,販売管理や受注,決済といった基幹業務システムに適用する事例も出てきた。

図1●今回取り上げる「ASPサービス」の位置付け
ユーザーは,アプリケーションを稼働させるのに必要なサーバー側の環境を自社で開発・運用する必要がないので,これにかかる初期導入コストやメンテナンス・コストを削減できる
 ネットワークを介してアプリケーションを提供する「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービス」が注目を集めている。ASP事業者が自社のサイトで運用する各種アプリケーションを,ネットワーク経由でユーザー企業が利用する。インターネットをはじめとするネットワーク技術が進化したために可能になった新種のサービスである(図1[拡大表示])。

 ASPサービスは大きく四つのメリットをユーザー企業にもたらす。第1は,短い開発期間。必要なアプリケーションはASP事業者のサーバー上ですでに稼働しているので,業務仕様とシステム仕様が合致さえすれば開発期間はほとんどかからない。第2は,初期導入コストの抑制だ。ユーザー企業はクライアントとネットワーク接続の環境だけを用意すればすむ。

 第3は,アプリケーション開発やサーバー運用に携わる要員が必要ないこと。人材確保が困難な中堅・中小企業にはうれしいメリットだ。第4は,運用コストの節減。契約の条件にもよるが,通信機器やサーバーの保守料,アップグレードにかかる費用はASP事業者が負担するのが一般的だ。

(森 永輔)