コンビニエンス・ストアなどに設置するマルチメディア端末やサーバーへの採用を巡って,LinuxとWindows2000が熾烈な競争を繰り広げている。ローソンは全店舗にLinux搭載サーバーの設置を決めた。一方,セブン-イレブンやファミリーマート連合は,Windows2000搭載端末を大量導入する。
インターネットを利用したチケット予約や,音楽配信といったサービスを拡充するため,コンビニエンス・ストアやCDショップなどはマルチメディア端末や店舗用サーバーの導入を急いでいる。ただし,全国に散らばる多数の店舗に配置する端末やサーバー機に搭載するOSには,(1)価格が安い,(2)アプリケーションの開発が容易,(3)保守性に優れる,といった三つの条件が求められる。
現時点では,これらの条件をクリアできるOSは,Windows2000とLinuxしかない。このため両OSの間では,マルチメディア端末や店舗用サーバーへの採用を巡る競争が起こっている(表)。特に動きが目立つのは,コンビニエンス・ストア業界だ。
Windows2000を採用する企業の代表格が,ファミリーマート,サークルケイ・ジャパン,サンクスアンドアソシエイツ,スリーエフ,ミニストップの5社連合である。これら5社は,2000年10月からイープラット(東京都中央区)が提供するマルチメディア端末「e-TOWER」の導入を始め,2001年7月までに合計1万3000台を設置する計画だ。
コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンも2000年11月から展開を始めたマルチメディア端末「ドリームナビ(仮称)」のOSにWindows2000を選んだ。最終的には全国で8400以上ある店舗に,ドリームナビを設置する。
Windows2000を採用した理由についてセブン―イレブン・ジャパンは,「Windows2000は開発ツールが充実しているうえに,デバイス・ドライバが豊富なので各種の周辺機器を簡単に増設できることを評価した」(広報担当者)と説明する。
一方のLinuxは,大手コンビニのローソンで採用が決まったところだ。全国7600の店舗に設置済みのマルチメディア端末Loppiの機能を拡張するための店舗サーバー用OSにLinuxを使う。ローソンは,「オープン・ソースで基本的に無償のLinuxを利用すれば,導入コストを大きく削減できると考えて,Linuxの採用に踏み切った」(広報担当者)と話す。
ローソンは,各店舗に本番用とバックアップ用の2台のLinux搭載サーバーを設置する。サーバー機の台数は合計1万5200台と,Linuxを使うシステムとしては国内最大級になる。
Linux搭載サーバーを設置した店舗のLoppiは,音楽データのダウンロードやゲーム配信,デジタル写真のプリントといったコンテンツ配信サービスを利用できるようになる。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表●最近設置の始まったマルチメディア端末や店舗用サーバーの概要。 ローソンの採用により,一気にLinux陣営の勢いが増した *ファミリーマート,サークルケイ・ジャパン,サンクスアンドアソシエイツ,スリーエフ,ミニストップ,トヨタ自動車,NTTコミュニケーションズの7社が共同で設立したマルチメディア端末向けサービスの運営会社 |
(IT Pro注:◎関連記事
■セブン-イレブン,ビジネス・ユーザーもターゲットにマルチメディア端末を導入
)