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 日本オラクルはリレーショナル・データベース(RDB)ソフト「Oracle8i」の価格体系を大改訂した。同時接続ユーザー数を基本とする既存体系を廃止して,サーバー機の搭載プロセサ数と利用権を持つユーザー数のいずれか一方に応じて価格を決める。2001年1月1日以降の購入分から適用する。

 日本オラクルは,新しい価格体系「Eビジネス・プライス」を,「インターネット・ビジネスへの適用を前提にした体系」(武井直執行役員事業企画本部長)と位置づける。「価格体系の変更と同時に,標準保守契約の範囲に24時間365日のサポートを入れたのも,インターネット・ビジネスへの適用を考えたからだ」と続ける。

 Eビジネス・プライスの目玉は,Oracle8iが稼働するサーバー機の搭載プロセサ数に応じて価格が決まる「プロセッサ・ライセンス」方式だ()。不特定多数のユーザーがアクセスするインターネット・ビジネス向けシステムへの適用を想定した価格体系である。日本オラクルによると,「4プロセサ搭載のUNIXサーバー上で動かす場合,これまでの8960万円が4800万円になる」という。

 新体系では,プロセッサ・ライセンス方式のほかに,RDBソフトにアクセスする権限を持つユーザー数に応じて価格を決める「指名ユーザー」方式も導入する。こちらは主として社内システムにOracleを使うケースへの適用を想定している。

 ユーザーはプロセッサ・ライセンス方式と指名ユーザー方式のどちらか一方を選択できる。いずれの方式でも,対象OSの種類によって,価格が変わることはない。これにより,Oracleを動かすプラットフォームを,Windows NTサーバーからUNIXサーバーに変更した場合でも,追加費用を支払う必要がなくなった。これまでの体系では,UNIX版の価格はWindows NT/Linux版に比べて2~4倍もした。

 日本オラクルは,新価格体系の導入は,「ほとんどのケースで,値下げになる」(武井執行役員)としている。確かに小規模システムにOracleを適用する場合は,大幅に価格が安くなる。例えば,Windows NT/Linux版で22万円したOracle8i Workgroup Serverは,16万円で購入できる。

 しかし,すべてのシステムで,新価格が割安になるのかどうかは疑問だ。ある日本オラクルの販売代理店は「指名ユーザー方式では,利用頻度の低いユーザーも課金対象としてカウントしなければならず,従来の同時ユーザー方式に比べて,課金対象となるユーザー数が大きく増える可能性がある。このため,大企業の社内システムなどに使う場合は,値上げになるケースが出てくる」と打ち明ける。

 新体系では,年間保守料金が製品価格の15%から22%に引き上げられることも見過ごせない。日本オラクルは「製品価格自体が下がるので,料率が上がっても,保守料金は下がる」と説明している。しかし製品価格が下がらないと,この前提が崩れてしまう。

 マイクロソフトなどの競合メーカーは,「これまでよりは確かに安くなったが,Oracleが当社製品より割高なことに変わりはない」と主張している。

(中村 建助)

製品 Oracle8i Workgroup Server Oracle8i Enterprise Edition
方式 プロセッサ・ライセンス方式 1プロセッサ当たり192万円(ただしUNIX版はプロセサ数2個まで,Windows NT/Linux版はプロセサ数4個まで) 1プロセサ当たり,1280万円(1~3個まで),1200万円(4~7個まで),1120万円(8~15個まで),1040万円(16~31個まで),960万円(32~63個まで),880万円(64個以上)
指名ユーザー方式 1指名ユーザ当たり3万2000円
(最低5ユーザー分から販売)
1指名ユーザ当たり12万円
(最低25ユーザー分から販売*)
表●日本オラクルの「Eビジネス・プライス」の価格体系。利用権を持つユーザー(指名ユーザー)の人数に応じて課金する「指名ユーザー方式」と,稼働サーバーのプロセサ数に応じて課金する「プロセッサ・ライセンス方式」の2種類から選択できる
*UNIX版の場合。Windows NT版とLinux版は最低10ユーザー分から販売