佐川急便はインターネット・モール最大手である楽天との提携を解消し,楽天の出店者向けに設定していた特別割引運賃の適用を2001年1月20日扱い分で打ち切る。割引運賃の前提だった楽天と佐川のシステム接続が,楽天の事情で進まなかったことが理由。しびれを切らした佐川が見切りを付けた。

図●楽天と佐川急便の間のシステム接続が遅れたため,楽天の出店者は個別に集荷・配送を指示していた
 佐川急便は2000年2月に楽天と提携し,同年5月から楽天の出店者に「3割引き」という破格の特別運賃を適用してきた。この提携により,楽天は格安の配送料という他のインターネット・モールにはない特徴を打ち出せた。佐川側にも,楽天の出店者に,競合するヤマト運輸から自社への切り替えを促せるというメリットがあった。

 しかし,3割も運賃を割り引いては,佐川側の採算が厳しい。そこで佐川と楽天は,両社のシステムを接続することで,事務処理コストを削減し,それを割引の原資とする計画だった。割引の理由を,佐川が他の顧客に説明するためにも,システム接続は必須だった。

 佐川は,電子商取引サイト向けの配送処理システム「e's」を2000年3月に構築済み。e'sは,電子商取引サイトから配送指示データを受け取り,担当営業所に自動的に集荷を指示する。さらに配送先の住所などを印字した配送伝票を自動的に作成する機能や,運賃を自動集計する機能を備えている。e'sと楽天の受注処理システムを接続すれば,集荷・配送・決済作業のコストを大幅に削減できる。

 しかし楽天側の準備は遅れに遅れた。このため,佐川はシステム接続ができないまま,割引運賃を導入する羽目になった。

 2000年12月末になっても,楽天の受注処理システムと,e'sは接続できていない。現在でも,出店者のほとんどは,電話やファクシミリを使って,最寄りの佐川の営業所に集荷・発送を指示しており,出店者も佐川も事務処理の負担が大きかった。

 この間,佐川の担当者は,「数十回にわたって楽天を訪問し,システム接続を要請し続けたが,楽天の準備は進まなかった」(佐川関係者)。このため,佐川は2000年夏ごろから提携解消の検討を社内で始め,最終的に提携打ち切りを決めた。佐川に切り替える楽天出店者が伸び悩んだことも,提携解消に影響したようだ。「システムの接続ができず,電話などで集荷・配送を指示しなければならない状況では,出店者もわざわざ配送会社を佐川に切り替えなかった」(佐川関係者)。

 システム接続がなかなかできなかった理由として,楽天は「質の高いシステムを作るため,慎重に開発を進めた」(広報担当者)ことを挙げている。だが,佐川のe'sは,楽天以外の有力サイトとは,きちんと接続できていることを考えると,結果的に「楽天の対応が遅かった」(佐川関係者)と言われても仕方がない。楽天は急増する出店者の対応に追われ,佐川とのシステム接続に手が回らなかったようだ。

 一方,佐川と同じく2000年2月に,楽天と提携し,出店者向けの割引運賃を設定している日本通運は,今後も楽天との関係を継続する。「楽天と日通の間のシステム接続は,2001年春に完了する見通し」(楽天の広報担当者)である。

(小林 暢子,井上 理)