EJB(Enterprise JavaBeans)仕様に準拠したソフトウエア部品「EJBコンポーネント」の流通ビジネスが,いよいよ離陸する。EJBコンポーネントのポータビリティを確保するためのコンソーシアムや,EJBコンポーネントを販売する合弁会社が相次いで設立された。主要ベンダーのほとんどが参加するため,ユーザー企業の期待も高まっている。NEC,富士通,日本IBMなど,EJBコンポーネントを商品化するベンダーも増えてきた。

 これまで長く待望されながら実現しなかった「ソフトウエア部品の流通ビジネス」を立ち上げようとする機運が急速に高まっている。この動きのキーワードは「EJB(Enterprise Java- Beans)」。EJBの仕様に準拠したソフトウエア部品「EJBコンポーネント」を流通させるための業界団体や合弁会社が,2000年10月以降,国内に相次いで設立された。米国をはじめ海外ではこのような動きはなく,EJBコンポーネントの流通ビジネスで日本が先頭を走り始めた。

 EJBは,Javaで開発し,サーバー上で実行するソフトウエア部品の共通仕様である。EJBの仕様は1999年12月に公開されたバージョン1.1で実用に耐える段階に到達し,それ以後,「EJBが普及することは確実」という認識が定着しつつあった。

 ソフトウエアを部品化して流通させ,それを利用することで開発期間を短縮し,同時に品質を向上させる。これは,ソフトウエア開発者にとって永遠のテーマである。だが,これまでソフトウエアの部品化で成功したと言えるのは,Windows用の画面部品(OLEカスタム・コントロール)くらいで,EJBコンポーネントのように業務の処理手続きを対象としたソフトウエアの部品化は成功した試しがない。新世紀の幕開けとともに,壮大な挑戦が始まった。

部品化に挑むラスト・チャンス

 EJBコンポーネントの流通促進を目的に設立された組織は,二つある。2001年1月12日に日本で最初のEJBコンポーネント流通会社として発足した「コンポーネントスクエア」(東京都千代田区)と,2000年10月6日に設立された業界団体「EJBコンポーネントに関するコンソーシアム(仮称,以下EJBコンソーシアム)」だ。EJBコンソーシアムは,EJBコンポーネントを流通させるうえで必要な環境整備,いわば“地ならし”の役割を果たす。

 2000年9月に開催されたEJBコンソーシアムの設立意向表明の記者会見では,富士通と日本アイ・ビー・エムの両社長が握手を交わすという歴史的な光景が見られた。これに象徴されるように,両組織には多数のシステム・インテグレータやソフトウエア・ベンダーが,日ごろの競合関係を乗り越えて名を連ねている。「EJBコンポーネント市場を早く立ち上げるためには,1社ですべてをやろうとするのではなく,みんなで手をつなぐ必要がある。パッケージ製品と違い,ソフトウエア部品は他社とギブ&テイクの関係になるので,競合会社とも組みやすかった」と,日本IBMの田原春美ソフトウェア事業部ソフトウェア営業推進ソフトウェアマーケティング担当副部長は説明する。

 コンポーネントスクエアに出資した企業は13社,EJBコンソーシアムの会員企業は2001年1月15日時点で57社に上る。参加企業の多さに,EJBビジネスに対する期待の大きさが表れている。コンポーネントスクエアは「EJBコンポーネントの国内市場規模は,2003年度には少なくとも150億円になる」(栗林亘ビジネス開発担当ディレクター)と見込んでいる。

 両組織に設立発起人として参加した日立ソフトウェアエンジニアリングは,「もしEJBが失敗したら,将来二度とソフトウエアの部品化に挑戦する機会は訪れないのではないか。これがラスト・チャンスと考え,会社を挙げてEJBコンポーネント市場の立ち上げに取り組む」(広田雅彦インターネットビジネス推進本部長)と力を込める。

(中村 正弘)