「日本における企業間電子商取引(BtoB)の市場規模は,今後年率38%の成長を続け,2005年には約110兆円に達する」という,“強気”の予測を経済産業省(旧・通産省)などが発表した。しかし,この調査は「BtoB」の範囲をかなり広くとらえているため,数値の取り扱いには注意が必要だ。

図●経済産業省などが発表した企業間電子商取引(BtoB)の市場規模推移の予測
マーケットプレイスは2002年から本格的に拡大する見込み。参考に1998年11月~1999年3月に実施した前回調査(1998~2003年)の予測も示した

 この調査は,経済産業省とアクセンチュア(旧・アンダーセンコンサルティング)が,国内の電子商取引市場の現状と今度の推移を予測するために,2000年9月から2001年1月にかけて実施したもの。経済産業省とアクセンチュアが1999年3月に発表した同様の調査結果に含まれる数値のほとんどを上方修正した。例えば,前回調査では約19兆円と予測していた2000年時点のBtoBの国内市場規模は,約22兆円になった。

 今回の調査は「2005年のBtoB市場は110兆円を超える」と予測する([拡大表示])。予測通りに行けば,5年間で,実に5倍に拡大することになる。さらに企業間の全商取引に占めるBtoBの割合は,2000年の3.8%に対して,2005年には17.5%に高まると見ている。

 1999年3月の調査結果は,政府が出した唯一の「BtoB市場予測」だったため,その数字は至る所で引用された。今回の調査結果も,頻繁に使われることになるだろう。

 ただし,経済産業省とアクセンチュアの調査は,「BtoB」の範囲をかなり広くとらえていることに,注意が必要だ。両者は,情報収集や見積もり依頼など商取引の一部にインターネットを使っていれば,書面や対面といった従来型のやり方で発注や決済をしていても「BtoB」に含めている。

 定義を広義に解釈している用語は,ほかにもある。一例を挙げると,「マーケットプレイス」の定義には,「特定の買い手(もしくは売り手)が運営するサイトに,不特定多数の売り手(もしくは買い手)が参加する」形態も含まれる。このため,「デルやアスクルをはじめとする個別企業の通販サイトも,マーケットプレイスと見なした」(アクセンチュアの堀田徹哉シニアマネジャー)。今回の調査は,マーケットプレイスを経由したBtoBの市場規模を2000年時点で2000億円としているが,「そのうち1400億円はパソコンのインターネット販売,600億円はオフィス用品のインターネット販売」(同)という。

 この調査の正式名称は,「平成12年度電子商取引に関する市場規模・実態調査」。業界主要企業324社へのアンケートやインタビューに加え,インターネット販売の事業者や資材調達元の業者などへのヒアリングに基づいて,分析・予測をした。

(小林 暢子)