大手インターネット・サービス・プロバイダが本格参入したことで乱立状態にある「ポータル」業界では,各社が生き残りをかけた激しい争いを繰り広げている。主要ポータル各社は,広告収入への依存体質から脱却すると同時に,インターネット利用者の“滞在”時間が長いEC(電子商取引)関連サービスの収入拡大に注力し始めた。最大手ヤフーを追う2番手集団は,大型の提携戦略を軸にして,ECコンテンツの拡充を急いでいる。

表●主な総合ポータル・サイトの利用状況
ネットレイティングスが実施している「インターネット利用者動向情報サービス」のデータを基に,編集部が独自に作成した。調査期間は2000年12月1日~31日
 総合ポータル・サイトの世界では,「圧倒的な強さを見せる最大手ヤフーを,ほぼ横並びの“2番手集団”が追いかける」という構図が定着してきた。このことは,インターネットの視聴率調査を手がけるネットレイティングス(東京都港区)のデータ(調査期間は2000年12月1日~31日)からも,はっきり読み取れる([拡大表示])。

 ポータルは,魅力のあるコンテンツやサービスを豊富に用意したWebサイトで,他のWebサイトへの“玄関”の役割も果たす。このポータルを運営する業者の間で,いま大きな変化が起こりつつある。キーワードは「EC(電子商取引)」。各社が一斉に,オークションやショッピングといったEC関連サービスによる収入拡大やコンテンツ強化に走り始めたのだ。

 検索サイト系ポータルはこれまで,収入源をバナーなどの広告に大きく依存してきた。だが,景気変動に左右される広告収入に頼っていては,今後の厳しい競争を勝ち抜くのは難しいと判断。新たな収入源の確保に追われることになった。接続料収入が頭打ちになったことでこの業界に参入してきたインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)系ポータルも事情は同じだ。こうした状況のなか,収入拡大の最も有力な戦略として各社が見いだしたのがECの強化だった。

(井上 理)