KDDIと日本テレコムは今春,コールセンターを開設する企業向けの新サービスをそれぞれ提供し始める。コールセンターにかかってきた電話を各担当者に振り分ける処理を,通信事業者側で実行することが特徴。企業はコールセンターの開設にかかる初期コストを大幅に削減できる。

 KDDIは「True Contact」の名称で4月中に,日本テレコムは「NBCS」の名称で5月前半に,コールセンターを運営する企業向けの新サービスを開始する。両社のサービス内容は,ほぼ同じだ。「ネットワーク・コールセンター」と呼ぶ施設にコールセンター用の機器を設置して,これを複数企業が共用するというものである。

 KDDIと日本テレコムは,ネットワーク・コールセンターに,利用企業の消費者や取引先からかかってきた電話を,それぞれの応対担当者(オペレータ)に振り分けるサーバーや自動音声応答装置などを設置しておく。振り分けサーバーは,利用企業のコールセンターにいる全オペレータの状況を一元管理しており,手の空いている担当者に電話を自動的につなぐ。利用企業のコールセンターが複数個所に分散している場合でも,振り分けサーバーが応対可能なオペレータを自動的に探す。

 ネットワーク・コールセンターは,オペレータ一人ひとりのスキルや専門性をデータベースとして管理する。電話をかけてきた人が音声応答装置の指示に従って,「商品問い合わせ」や「苦情」といったメニューを選択すると,応対のスキルを持つオペレータに電話を回す。

 両社のサービスを利用する企業は,PBX(構内交換機)と電話端末を設置するだけで,コールセンター業務を開始できるようになる。KDDIと日本テレコムはサービス利用料金の詳細を詰めている最中だ。両社の担当者は,「200席クラスのコールセンター用では1億~2億円する機器を,月額500万円以下のサービス料金で利用できるようになる」とそれぞれ主張している。

 KDDIと日本テレコムは,新サービスの提供を武器に,これまでNTTのフリーダイヤル・サービスを利用していた大口顧客の乗り換えを狙う。KDDIや日本テレコムも,フリーダイヤル・サービスを提供しているが,サービス提供で先行したNTTに大きく後れを取っている。両社は企業が現在のフリーダイヤル用番号をそのまま引き継いで,通信事業者だけを変更する「番号ポータビリティ」が4月から導入されるのを機に,巻き返しを図る。

(小林 暢子)

図●KDDIと日本テレコムが今春からそれぞれサービスを開始するネットワーク・コールセンターは,各コールセンターの電話担当者に電話を振り分ける機能をセンター側で持つ。従来は振り分けに必要なシステムを,導入企業が構築する必要があった