親会社から自立するのは至難の業と言われるユーザー系の情報システム子会社。だが,着実に自立への道を歩んでいるシステム子会社もある。松下電工や日商岩井,東洋エンジニアリングのシステム子会社はそれぞれ,社長の強力なリーダーシップの下,出向社員を全員転籍させたり,人事・給与体系を改めて,“IT(情報技術)のプロ集団”へと変身を目指す。3社はいずれも2001年内にIPO(新規株式公開)を果たし,さらなる成長を狙う。

 「全社一丸となったので,わずか2年でここまでできたのだと思う」――。松下電工インフォメーションシステムズ(大阪府門真市,NAiS-IS)社長の浜田正博は,1999年3月の会社設立当時に立てた売上高目標を,3年も前倒しして達成したことに喜びを隠さない。NAiS-ISの2000年11月期の売上高は244億円。1999年3月時点に2003年11月期の売上高目標として立てた231億円を,一気に上回ったのである。

 NAiS-ISは松下電工の情報システム部門が丸ごと分離・独立して1999年3月に発足した,いわゆる「システム子会社」である。一般にシステム子会社には,「親会社依存の体質から抜け出せずに売り上げが伸びない」,「親会社からの出向社員とプロパー社員の間で処遇や給与に格差があり,社員のモラールが上がらない」といったさまざまな課題がある。

 しかしNAiS-ISは事業の柱であるアウトソーシングの顧客から,新規のシステム開発やネットワーク再構築の案件を次々と獲得。業績を伸ばし続けている。2001年11月期も増収増益を達成する見込みである。浜田は「少なく見積もっても,売上高で270億円,経常利益で18億円は達成できる」と強気だ。2001年後半にはIPO(新規株式公開)も計画している。

システム子会社のIPOが相次ぐ

表1●今回取り上げるユーザー系情報システム子会社の概要
いずれも業績は好調で,2001年内にIPO(新規株式公開)を目指す
 2001年に入って,業績好調なシステム子会社のIPO計画が相次ぎ明らかになっている(表1[拡大表示])。

 日商岩井の“孫会社”にあたるシステム会社のインフォコム(東京都文京区)は,2001年秋の株式公開を予定している。インフォコムでは1999年4月に,日商岩井からの出向者22人を全員転籍。その後,人事・給与体系に成果主義を取り入れるなど,社長の沼 惇が主導してさまざまな改革を断行してきた。2001年3月期の売上高は161億円,社員一人当たりの売上高は5000万円強に達する見込みだ。

 インフォコムはこの4月1日に,帝人のシステム子会社である帝人システムテクノロジー(大阪市,TST)との合併を控えている。TSTはインフォコムに比べると親会社向けの売り上げ比率が高いなど,子会社体質が抜けきっていない部分もある。新生インフォコムで社長に就任する予定の沼は,「インフォコムでこれまで実践したことをするだけ」と,2度目の自立に自信満々だ。

 プラント建設大手の東洋エンジニアリングの子会社である東洋ビジネスエンジニアリング(B-ENG)は,上記2社よりもひと足早い2001年2月19日に株式上場を達成した。1999年4月の会社設立から,2年足らずという異例のスピードである。

 いずれの企業も,経営トップの強力なリーダーシップの下で,全社員が一丸となって成長を続けている。特に,システム子会社特有の課題である「出向社員とプロパー社員との格差」については,転籍により出向者そのものをなくす,という抜本的な解決を図ったのが目につく。「子会社で採用した社員と親会社からの出向社員の“混在”をなくして,全社員が一枚岩となることが自立に不可欠」。3社の社長は口をそろえる。

=文中敬称略(戸川 尚樹)