地方自治体も情報システムを全面アウトソーシングする時代に--。岐阜県はNTTコミュニケーションズとの間で,合計120種におよぶ基幹系情報システムの再構築・運用を柱としたアウトソーシング契約を結んだ([拡大表示])。契約期間は2001年4月からの7年間で,契約総額は約115億円に上る。

表●岐阜県が実施するアウトソーシングの概要
地方自治体でこれだけの対象業務,金額のアウトソーシング契約は前例がない
 情報システムの開発や運用の一部を外注するケースは地方自治体でも珍しくないが,全面的なアウトソーシングに踏み切るのは,全国に3300ある自治体の中でも岐阜県が初めてだ。

 岐阜県の目的は,大きく分けて二つある。一つは情報システム関連コストの削減。同県はアウトソーシング契約期間の7年間で,システムの運用コストで35億円,ハードウエアの調達や保守のコストで65億円,合計100億円のコスト削減を見込んでいる。「歳入増が望めない今,コスト削減は地方自治体にとって最優先課題の一つ」(同県情報システム課の近藤宙時課長補佐)。他の多くの自治体も同様な状況だけに,岐阜県に追随する自治体が増える可能性は高い。

 必要な機能を維持しながらコスト削減を実現するために,アウトソーシング契約には二つの特記事項を盛り込んだ。サービス・レベル協定と,コストを削減した場合に岐阜県とNTTコムが削減分を折半する「コ・ソーシング」である。サービス・レベル協定では,システムのレスポンスや稼働時間など65項目に関し,サービス内容を規定。規定を満たさない場合には違約金を徴収することを決めている。

 コスト削減と並んで岐阜県が掲げるもう一つの目標は,「県内におけるIT産業の振興」(同)。岐阜県は「ソフトピアジャパン」と名付けた地域に,IT関連企業を誘致したり展示施設を設置するなど,IT関連産業の集積を図っている。今回,契約を結んだNTTコムも,ソフトピア内にアウトソーシング拠点を設ける。「NTTコムのような大手を誘致し,県内企業向けのIT関連事業を展開してもらうことで産業振興が図れる」(近藤課長補佐)。

 岐阜県がアウトソーシングするのは,税務や福祉,人事・給与,財務・会計など全120種に及ぶ業務システムの再構築と,再構築したシステムの保守・運用である。再構築にはERPパッケージを採用し,情報システムのプラットフォームや使い勝手を統一する。システムごとの画面や操作法を統一するため,クライアントにはWebブラウザを使用する計画だ。

 既存システムは,メインフレームやオフコン,さらにUNIXなどが混在しており,使い勝手や運用/保守性が必ずしも良くない面がある。そのため極力早い段階で新システムに移行し,システム・コストの低減を図る。

 再構築するシステムは,稼働当初は県庁内に設置する。将来はシステムをNTTコム側に移設し,ASP形式で利用する計画である。新システムが稼働するのに伴い,浮いたシステム要員は県庁の他部門に異動させるという。

 なお今回のアウトソーシング契約では,新規の開発案件は含んでいない。このため,今後導入を予定している「住民基本台帳ネットワーク」や,インターネット経由で各種の申請・届け出を受け付けるようなシステムに関しては,開発業者を決定するための入札をあらためて実施する。

(玉置 亮太)