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廃棄したパソコンのハードディスクから,機密情報や顧客情報が漏えいする。どうやら市販のデータ復元ソフトが悪用されたらしい――。こうした事件が増えていることを受けて,パソコンのデータを“完全に”消去できるソフト製品やサービスが相次いで登場した。これからパソコンを廃棄したり,リース会社に返却しようとしている企業や官公庁は,情報漏えい回避の決め手として,こうしたソフト製品やサービスに注目している。

今年3月下旬,ある官公庁がパソコン140台を廃棄するのにあたり,専門業者の力を借りて,ハードディスクのデータ消去作業を実施した。委託先はアイティフォー(旧・千代田情報機器,東京都千代田区)。同社が3月16日に始めた「データ完全消去サービス」を利用した。

これらのパソコンには,外部への流出が許されない機密情報も含めて,さまざまなドキュメントやデータが入っていた。この官公庁がアイティフォーのサービスを利用することにしたのは,パソコンの廃棄に伴う情報漏えいを回避するため,絶対にデータを復元できない状態にする必要があったからだ。アイティフォーには,この官公庁のほか金融や製造などの民間企業から,データ完全消去サービスに関する問い合わせが相次いでいるという。

データ消去ソフトが一気に出そろう

 アイティフォーはこのサービスの提供に際して,専用のデータ消去ソフトを使っている。米オントラック・データ・インターナショナルが開発した「DataEraserプロフェッショナル版」だ。この製品は,国内で販売されているデータ消去ソフトのなかで最も実績がある。米オントラックの総販売代理店であるワイ・イー・データ(YEデータ,埼玉県入間市)が昨年12月に発売して以来,すでに15万ライセンス(パソコン1台のデータ消去に1ライセンスが必要)以上を販売した。4月20日には,1ライセンスの個人向けパッケージ製品「DataEraserパーソナル版」の出荷も開始した。

表1●パソコンのデータを完全に消去するための主なソフト製品

 DataEraserに続き,今年に入ってからデータ消去ソフトが続々と登場している(表1[拡大表示])。どの製品も,ハードディスクのすべての領域に,「0」や無意味なデータ(乱数など)を上書きすることで,データを“完全に”消去する。データ消去に要する時間は,1GB当たり1~5分程度。ただし各社とも,念を入れて最低3回はデータを上書きすることを推奨している。

 ほとんどの製品ではDataEraserと同様,データを消去したいパソコンの台数分だけライセンス料金を支払う。データを消去したパソコンの台数がライセンス数に達すると,データ消去ソフトはそれ以上使えなくなる。最も安価な製品はネットジャパン(東京都千代田区)の「DataGone(英語版)」と,ワイ・イー・シー(東京都町田市)の「HDD-ClearII」。それぞれ25ライセンスが1万5000円,50ライセンスが3万円(いずれも1ライセンス当たり600円)である。

 パーソナルメディア(東京都品川区)の「ディスクシュレッダー」だけは,パソコンの台数に関係なく,3万円の価格が設定されている。大量のパソコンのデータを消去したい企業に向く。

(川又 英紀)