マイクロソフトが今年10月末にも国内出荷する,次期クライアントOS「Windows XP」の全貌がわかった。強化点のほとんどは,個人ユーザー向けのもので,企業ユーザーにとっての魅力は少ない。Windows98/Meのユーザーは,それでもいつかはXPにバージョンアップしなければならない。

 米マイクロソフトはWindows XPを10月25日から出荷する。Windows95の2倍のマーケティング費用を投じて,“95ブーム”の再来をもくろむ。米国とほぼ同時期に出荷を始める日本法人も,一大キャンペーンを張るはずだ。

表●Windows XPの特徴。企業ユーザーにとっての魅力は乏しい
 すでにマイクロソフト日本法人はWindows XPの日本語ベータ(評価)版を,約4万の技術評価サイトに4月24日から配付し始めている。このベータ版は「性能面のチューニングはこれからだが,製品版に盛り込む予定の機能がすべて実装されている」(御代茂樹Windows製品部長)。これによりXPの全体像がようやくわかった([拡大表示])。

 結論から述べよう。本誌がかねてから指摘していた通り,Windows XPは「Windows2000のマイナーチェンジ版」に過ぎなかった。特にWindows2000 ProfessionalをクライアントOSとして導入済みの企業が,XPに率先して乗り換える意義は皆無に近い。XPの新機能のうち,企業ユーザーが興味を抱きそうなのは,他のパソコンをインターネット経由で遠隔操作して,サポート業務を効率化する「リモートアシスタント」機能ぐらいしかない。

 マイクロソフトがWindows XPで力を注いだのは,個人ユーザー向けの機能強化だ。例えば家族で1台のパソコンを共有することを想定したログイン機能を追加したほか,インターネットに常時接続する個人ユーザー向けに簡易ファイアウオール機能も装備した。

 確かに個人ユーザーは,これらの新機能を歓迎するだろう。しかし,それを目当てに企業ユーザーがWindows XPの導入に踏み切るとは考えにくい。マイクロソフトは明言していないが,XPの動作には,Windows2000や同98/Meより1ランク上のハードウエアが必要になる可能性が大きいことを考えるとなおさらだ。

 マイクロソフトがWindows XPの特徴として真っ先に挙げる「Windows NT/2000と,Windows98/Meの統合」も,企業ユーザーにはあまりメリットがない。単に,マイクロソフトがこれまでWindows98/Me系OSに費やしていた労力を他の製品に振り向けるだけの話だ。

 むしろWindows98/Meの後継OSの新規開発が打ち切られたことによるデメリットのほうが企業ユーザーには大きい。確かにWindows NT/2000は信頼性が高く,セキュリティなどの機能も豊富だ。そのことは承知の上で,Windows NT/2000よりも安価に導入できるWindows98/Meをあえて選択し続けている企業ユーザーは少なくない。これらの企業もWindows98/Me系OSの終焉(しゅうえん)により,いつかはWindows2000,またはXPへのバージョンアップを余儀なくされる。

 Windows XPには,企業ユーザー向けの「Windows XP Professional」のほか,個人ユーザー向けに機能を限定した「同 Home Edition」がある。

 なお,マイクロソフトがWindows XPと並行して開発を進めている次期サーバーOSの名称は「Windows2002」になった。こちらは2002年前半に正式出荷を始める予定。

(星野 友彦)