マイクロソフトは5月末,メインフレーム上にあるCOBOL資産をWindowsへ移行するための新施策を打ち出した。基幹業務に特化したブラウザを開発したソフト会社など2社と提携。3社が協力して,既存のCOBOLプログラムやユーザー・インタフェースを変更せずにWindows上で動かす。
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図●マイクロソフト,メラント,アクシスソフトウェアの提携の狙い 3社のソフト製品を組み合わせて,メインフレーム上のCOBOL資産をパソコン・サーバーを使ったWebシステムへ移行できる環境を作る。既存のCOBOL資産のプログラムやユーザー・インタフェースをほぼそのまま利用できる |

3社が提案するシステム環境は,メラントのWindows用COBOLプログラム開発ツール/コンパイラMicro Focus Net Expressと,アクシスソフトのWebブラウザBiz/Browser,帳票作成ツールBiz/PrintServerを,EIP(企業情報ポータル)ソフトのDigital Dashboardなどマイクロソフト製品と組み合わせる。
ユーザー企業は,Micro Focus Net Expressを使って再コンパイルすることで,COBOL資産をWindowsのWebシステムで動かせる。
メインフレーム端末の画面については,Biz/Browserに付属しているツールを使って作り直す。ファンクションキーの設定を含め,既存端末とほぼ同じ画面を作成できる。Biz/Browserは処理の実行時に,サーバー側からフレーム・データなどをパソコンに先送りしておき,それ以降は数値データだけを送受信できる。
この仕組みにより,Internet Explorerなど通常のブラウザよりも高速な入出力処理が可能になる。マイクロソフトは,基幹系システムを構築するユーザーには,Biz/Browserを推奨する。
アクシスソフトは年内にBiz/Browserを,マイクロソフトのソフト部品仕様であるActiveXに準拠させる。こうすることで,マイクロソフトのDigital Dashboardの中でBiz/Browserを動かし,ここからMicro Focus Net Expressで記述されたCOBOLアプリケーションにアクセスできる。現状では,Digital Dashboardから1回出て,Biz /Browserを利用する必要がある。
ユーザー企業は以上の仕組みを使えば,COBOL資産を従来のユーザー・インタフェースのまま,Windows環境へ移行できる。3社によれば,「COBOL技術者はこれまでの業務ノウハウを生かし,WindowsのWeb環境で仕事を続けられる」という。
3社は当初,大量のCOBOL資産が稼働している金融機関にこの環境を提案していく。アルゴ21,富士ソフトABC,KPMGコンサルティング,日本ヒューレット・パッカード,日本ユニシスといったインテグレータが,Windowsへの移行支援サービスを手掛ける方針を表明している。3社はインテグレータ各社の協力を得て,今年度に25案件,2年目以降には年間100案件の受注を目指す。