米マイクロソフトは,Webサービス戦略「Microsoft.NET」の根幹をなす基本サービス群の料金体系や,一連の開発キットを一斉に発表した。.NETの早期実現に向けて,開発者を取り込むことが狙い。基本サービスの料金は,パートナが開発するWebサービスの規模に応じて,3段階に設定した。

 一連の発表は,マイクロソフトが10月23日から26日まで米ロサンゼルスで開催した,開発者向け会議「Professional Developers Conference(PDC)」でなされた。基調講演に立ったビル・ゲイツ会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトは,「我々マイクロソフトの目標は,ソフトウエア・サービスの開発者が,より容易にサービスを統合し,顧客の問題解決を支援できる開発環境を提供することにある。業界標準のXMLを使うことで,開発者はパワフルかつ生産性の高いWebサービスを顧客に届けることができるだろう」と語った。

 今回のPDCの目玉は「.NET My Services」。これは「Hailstorm」の開発コード名で知られる,Webサービスを実現するための基本部品群。ユーザー認証機能「Passport」や電子財布機能など,多くのWebサービスが利用する機能を提供する。マイクロソフトは2002年中ごろにも.NET My Servicesの提供を始める。

 Webサービスの開発者や実際のWebサービス提供企業に向けた,.NET My Servicesの料金体系も発表された。料金体系には,開発するWebサービスの規模に応じて「エントリ」,「スタンダード」,「コマーシャル」の三つがある。最も小規模なエントリは,年間1000ドルの定額料金と,開発したWebサービス1種類につき250ドル。スタンダードは年間1万ドルに,Webサービス1種類につき1500ドル。最大規模のコマーシャルについては個別見積もりとしている。

 これらの料金は.NET My Servicesを稼働させるデータセンターの維持・運営費用など,開発パートナに対するサービス・レベルを維持するための費用に充てる。同社パーソナル・サービス部門グループ副社長のボブ・マグリア氏は本誌に対して「マイクロソフト自身の収入の大半は,最終的なサービスの利用者からもたらされる。開発パートナから徴収するライセンス料金で儲けるつもりはない」と語った。

表●米マイクロソフトが開発者向け会議で提供を開始した,主な開発キットや試供版

 このほかにも,今回のPDCではさまざまな発表がなされた。開発パートナが.NET My Servicesを自社のWebサービスに組み込むための開発キットをはじめ,アプリケーションに音声認識機能を組み込むための開発ツール,薄型・携帯パソコン「Tablet PC」用アプリケーションの開発ツール,マイクロソフトの次期主力開発ツール「Visual Studio.NET」の製品候補版,Visual Studio.NETで開発したアプリケーションを組み込み機器で動作させるためのミドルウエアなどである([拡大表示])。

 あらゆる情報機器分野の制覇をもくろむマイクロソフトとしては,まずは開発環境の整備が急務と判断した。2002年には,携帯電話「Stinger」と薄型・携帯パソコンのTablet PCが新たにデビューする。さらに,Pocket PCやWindows CEの新版,組み込み機器向けWindowsの新版などが一斉に登場する見込みだ。

(玉置 亮太=米ロサンゼルス)