大手コンピュータ・メーカー間の提携が続いている。11月中旬に東芝と日本IBM,NECと日立がそれぞれ提携を発表した。いずれもソフト分野における共同開発や相互供給が柱。利益貢献度が低いソフト分野を立て直すには,システム構築事業で競合する企業とも手を結ぶ必要があると判断した。

図●11月に発表された大手コンピュータ・メーカー同士の提携の主な内容
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 国内の大手メーカーがシステム構築事業の中核に他社製ハードを使いだしてから久しい。こうした動きがついにソフトにも波及し始めた。

 その象徴は,NECと日立製作所が11月19日に発表した提携だ。システム運用管理ソフトの共同開発や既存製品の相互供給が提携の柱である。両社に先立つ11月12日に東芝と日本IBMが発表した提携でも,ソフト製品の相互供給が柱の一つになっている。

 NEC,日立,東芝の国産メーカーは,これまでもソフト専業ベンダーと提携関係にあった。しかしハードウエア事業やシステム構築事業で競合関係にある“メーカー”との提携にはあまり積極的ではなかった。NECと日立のように「共同開発」にまで踏み込むケースとなるとごく少ない。NECの栗山道明ミドルウェア事業部長は「他のメーカーとミドルウエアを共同開発するのは当社にとって初めて」としている。日立も状況は同じだ。

 国産メーカーがソフトの自前主義を捨てざるを得なくなった理由は,ソフト事業が十分な利益を上げていないことに尽きる。NECを例に取ると,2002年3月期におけるソフト事業の営業利益率は19%程度になる見通しだ。2000年3月期は32%だったが,競争の激化によって大幅に低下する。

 国産メーカー各社は,半導体部門や通信部門の不振によって大規模な人員削減を迫られている。コンピュータ部門に対する期待は高まる一方だ。そうした中,各社は利益貢献度がそれほど高くないソフト事業に人材や資金を投入するわけにはいかなくなっている。

 NECと日立が共同開発するのは,各種アプリケーションの稼働状況を一元管理するソフトと,複数のセキュリティ・ソフトのポリシー(設定)を一括定義するソフトの2製品。完成したソフトを,NECは「WebSAM」,日立は「JP1」といった自社の運用管理ソフト群の一つとして製品化する。両社は早ければ2002年4月から共同開発製品の出荷を始める見通しだ。

 相互供給に関しては,Webサイトのアクセス制御ソフト「SECUREMASTER」をNECが日立に,サーバーやネットワーク機器の障害発生状況を設備図面上に示すソフト「設備資産管理」を日立がNECに提供する。

 東芝と日本IBMの提携では,日本IBMがミドルウエアの全製品を東芝に供給する。競争力の高いミドルウエアを持たない東芝は,ソフト/サービス事業におけるIBM依存度を高める。東芝から日本IBMに4ソフトを提供するが,「日本IBMのソフト事業に大きなメリットはない」(日本IBM関係者)。

 併せて東芝はIBMのUNIXサーバー「e server pSeries」とオフコン「同iSeries」の販売権も得た。東芝はすでに米サン・マイクロシステムズ製UNIXサーバーのOEM販売をしている。同社はオフコン「TP90」の新規開発を中止している。IA-64プロセサ搭載サーバーも自社では開発していない。

(森 永輔)