無線LAN製品の高速化が始まった。11月から12月にかけて,ソニーとディアイティの2社が,現行製品の約5倍の最大54Mビット/秒で通信できる「5GHz帯無線LAN製品」の出荷を始めた。ただし,価格は現行製品の2~5倍する。親機の設置場所を,これまで以上に注意深く選ぶ必要がある。

写真●ディアイティが12月から出荷する,「IEEE802.11a」規格の無線LAN製品。
左がPCカード型の子機,右が親機(アクセス・ポイント)

 ソニーやディアイティ(DIT,東京都江東区)の製品は,いずれも国際規格「IEEE802.11a」が規定する方式を採用し,5GHz帯の電波を使って通信する(写真[拡大表示])。パソコン側に取り付けるPCカード(子機)と,アクセス・ポイント(親機)の間で最大54Mビット/秒の通信ができる。無線LANとして現在一般的に使われている2.4GHz帯の「IEEE802.11b」規格製品の最大通信速度が11Mビット/秒だから,約5倍の速度になる([拡大表示])。

 ソニーやDITは「5GHz帯製品の実効通信速度は25Mビット/秒程度」としている。「画像データや容量の大きいファイルを頻繁にやり取りする場合でも,5GHz帯製品ならばストレスなく利用できる。100Mビット/秒のLAN環境に慣れたユーザーには,現行製品はモノ足りないという声が上がっていた」(DITの担当者)と主張する。

 ただし,5GHz帯製品を利用するには,いくつか注意しなければならない点がある。まず一つは,現在普及している802.11b規格の製品と互換性がないこと。例えば,5GHz帯製品の子機と,802.11b規格の親機の間では通信できない。

 一方で,802.11bと互換性があり,通信速度も最大54Mビット/秒と速い「IEEE802.11g」の規格策定作業も始まっている。早ければ2002年後半に規格が固まる見通しである。5GHz帯製品は,それまでの“つなぎ”になる可能性もある。DITは「高速無線LANのニーズは急速に高まっており,5GHz帯製品が普及する余地は十分残されている」(担当者)としている。

表●主な無線LANの規格

 さらに5GHz帯製品は,親機の設置位置に今まで以上に注意する必要がある。5GHz帯の電波は,802.11b規格の2.4GHz帯よりも直進性が高く,障害物の影響を受けやすいからだ。802.11b規格の製品を使っていた際には電波の反射で通信可能だった位置に5GHz帯の製品を設置した場合,実効通信速度が落ちたり,途切れやすくなることもある。

 このため「5GHz帯製品を使う場合は,親機の設置位置に注意して欲しい」とDITは呼びかけている。親機の設置場所をより見通しがきく位置に変更するなどの措置が必要になる場合もあるだろう。

 製品が登場し始めたばかりということもあって5GHz帯製品の価格は,802.11b規格の現行製品よりも高い。例えばDITの「Proxim Harmony 802.11a」は親機が12万5000円,子機が2万9800円である。これに対して802.11b規格製品の親機はもっとも安いもので2万円強,子機は1万円程度で入手できる。

(高下 義弘)