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 ストレージ市場が大きく揺れている。調査会社の米IDCによると,2001年の外付け型ストレージの世界市場では米IBMと日立製作所が躍進,売り上げを2ケタ伸ばした。米EMCは首位をキープしたものの,売り上げは30%以上もの大幅減になる見込み。サンは前年に比べて売上高を半減させた。

 「まるで嵐のような,かつてない変化が起こっている。ストレージ市場でナンバーワンのEMCも,もはや安泰ではいられない」。こう話すのは,調査会社の米IDCでストレージ部門を担当するロバート・グレイ氏である。

表●米IDCが調査した,外付け型ストレージの売上高予測
日立の数字には,本誌が日立データシステムズの売上高も含めた
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 IDCは11月末,ストレージの世界市場に関する調査結果を明らかにした。この調査で目を引くのは,IBMと日立製作所の躍進ぶりだ。IBMの2001年予測は,前年比44.6%増の17億3120万ドル。日立は同14%増の16億7160万ドルである(100%子会社である日立データシステムズの売り上げを合算)。

 IBMの好業績の牽引役は,ハイエンド・ストレージ「Enterprise Storage Server(開発コード名Shark)」である。IBMによれば,同社のメインフレームやUNIXサーバーを使った,企業の基幹システムへの納入が好調という。

 日立も負けてはいない。同社は2001年6月に,今後2年程度で合計2000億円をストレージ関連の研究・開発や企業買収に投じることを発表,ストレージを同社の中核事業に据えることを表明した。ハイエンド製品「SANRISE」に関しては,米ヒューレット・パッカード(HP)に続いて米サン・マイクロシステムズとも販売提携を結んだ。この11月29日にも,米国のストレージ管理ソフト・ベンダーであるデータコア・ソフトウェアへ500万ドルを出資することを発表したばかりである。

 IBMと日立に比べて金額は小さいものの,富士通も売り上げを伸ばす見込みだ。2001年予測は,前年比13%増の6億7430万ドルである。

 対照的に不振だったのが,米EMC,米サン,米ネットワーク・アプライアンスである。EMCは5年連続で外付け型ストレージ市場の首位をキープすることが確実になったものの,売上高は前年比で32.6%も落ち込む見通しだ。サンに至っては58%もの大幅減。サンは順位も前年の4位から大きく後退して,8位に甘んじた。NAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)大手のネットワーク・アプライアンスも,18.6%減となった。

 IDCのグレイ氏は彼らの不調の原因を,「主戦場である通信事業者やネット系企業の業績不振」と分析する。こうした分野の顧客企業への依存度が高かったベンダーほど,不況の影響を受けてしまったわけだ。

 ストレージ市場の波乱は,しばらく続きそうだ。最大の不確定要素は,HPとコンパックの合併だろう。合併そのものが微妙な状態にあるが,両社の売り上げを単純に合計すれば27億ドル弱。IBMや日立を抜き去り,一気に世界第2位に躍り出る。

 ただし,そのためには「製品系列を抜本的に整理統合することが不可欠だ」(IDCのグレイ氏)。両社の事業領域の中で,ストレージ事業は最も製品系列が重複する部分である。例えばコンパックはIBMからSharkを,HPは日立からSANRISEを,それぞれOEM調達している。

(玉置 亮太)