「ユビキタス・コンピューティング」環境が整いつつある。2002年中に,パソコンや携帯情報端末(PDA),携帯電話向けのソフトウエアが,共通のデータ同期機能を備えるようになるからだ。これにより,使用する機器の種類や場所に関係なく,同じ内容のデータを活用できるようになる。

 「パソコンや家電,携帯電話,腕時計,カーナビなど,ありとあらゆる機器がネットワークにつながり,だれもがどこからでもネットワーク上のサービスを利用できる」―。こうしたユビキタス・コンピューティングの環境を活用する際の重要な要素の一つとして,いま特に実用化に向けた動きが活発なのが,データ同期サービスだ。

図●プーマテック ジャパンの「Sync-itサービス」を利用したユビキタス・コンピューティング環境の概要
 プーマテック ジャパン(東京都千代田区)とクレオ,ケイ・ラボラトリー(東京都港区),シャープの4社はそれぞれ,共通の仕組みでデータを同期させることが可能なソフトの開発を進めている。いずれも2002年中の実用化を目指す。具体的には,プーマテックのデータ同期サービス「Sync-itサービス」を利用するための「Sync-itクライアント」を開発。PIM(個人情報管理)ソフトなどに組み込む。Sync-itクライアントを備えるソフト同士なら,稼働する機器の種類に関係なく,プーマテックの「Sync-itサーバー」を介して,住所録やスケジュールなどのデータを同期させることができる([拡大表示])。

 プーマテックはSync-itサービスを始めた2001年12月に,マイクロソフトのOutlookをSync-itクライアントとして利用するためのソフトを開発済み。2002年3月までに,Palm OS搭載機やPocket PCで動作するPIMソフト向けにも同種のソフトを開発する。

 シャープは2001年12月に,ザウルスのPIMソフトにSync-itクライアントの機能を付加するソフトを開発。このソフトを使ったデータ同期サービスを,ザウルスの利用者向けに始めた。今年内に約10万人の利用者を獲得する考えだ。クレオは今年中に,自社製の年賀状作成用ソフト「筆まめ」にSync-itクライアントの機能を搭載する。ケイ・ラボラトリーは現在,携帯電話向けにSync-itクライアントの機能を備えるPIMソフトをJavaで開発中。今年中には,Javaの実行環境を搭載した携帯電話の利用者向けに提供する見通しだ。

 この4社とは別の方法で,プーマテックのSync-itサービスを活用する企業もある。展示会やレジャー施設のコンサルティングなどを手がける乃村工藝社だ。同社は2002年内に,自社で運営しているイベント情報のポータル・サイトに,Sync-itサーバーとのリンク機能を搭載。セミナーのスケジュールや会場の住所などを,Sync-itサーバーに送信できるようにする。プーマテック ジャパンの荒井真成まさなり社長は,「チケット販売を手がけるWebサイトの運営業者などに働きかけ,1年後にはSync-itサーバーとのリンク機能を持つWebサイトを数百以上に増やす」と意気込む。

(栗原 雅)