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 マイクロソフトが3月22日に出荷するソフト開発ツール群「Visual Studio .NET(ドットネット)」は,アプリケーション開発のスタイルを激変させるインパクトを持つ。COBOLプログラム資産を生かしながらVisual Basicで開発する,といった複数言語間での柔軟な再利用を可能にするのが目玉だ。

図●Visual Studio .NETによるアプリケーション開発の流れ

 Visual Studio .NET(VS.NET)は,従来のVSとはひと味もふた味も異なる。これまでのVSは事実上,Visual Basic(VB)やVisual C++(VC++)などソフト開発ツールの“寄せ集め”だった。現在のVBとVC++は,開発画面も使用するライブラリ(関数やクラスの集まり)もアプリケーションの実行に必要なランタイムも異なる。

 VS.NETの最大のポイントは,各ツールを密に統合することで,複数のプログラミング言語/ツールを併用する開発を容易にしたことだ。具体的には,ある言語/ツールで作成したクラスを他の言語/ツールで自由に利用できる。VS.NETで新たに追加されたオブジェクト指向言語であるC#(シーシャープ)で作成したクラスをVBで使う,逆にVBで作成したクラスをC#で使うといったことが可能になる。複数言語による開発スタイルをここまで徹底させたのは,VS.NETが初めてである。

 VS.NETでこの仕組みを実現するために,マイクロソフトは既存のVSに思い切った改変を加えた。各開発ツールで異なっていた開発画面やライブラリ,ランタイムをすべて統一([拡大表示])。各ツールで開発したアプリケーションは“中間言語”に変換されてから,ランタイムを備えた実行環境で動作する。クライアント向け,サーバー向けに加えて,Webサービスとして利用可能なアプリケーションを作成できる。

 VS.NETに組み込んで使えるサードパーティ製の開発ツールも登場する。中でも注目株は,富士通の「.NET対応COBOL」。「COBOL開発者の多くが,将来に不安を感じている。.NET対応COBOLなら,COBOLでWebサービスなどを作成できるうえ,COBOL資産を生かしてVBやC#でも開発できる」(開発を担当する富士通インフォソフトテクノロジの山本昭之第三開発統括部第一開発部長)。

 ただし,VS.NETは必ずしも前途洋々とは言えない。最大の問題は「VBユーザーが,VS.NETに含まれるVB新版のVB.NETに移行するかどうか」(マイクロソフト デベロッパー製品部の安藤浩二部長)。VB.NETの言語仕様は,以前のVBと大きく異なる。既存のVBで作成したアプリケーションを直接VB.NETで扱うことはできない。しかし,日本で約40万人というVBユーザーがVB.NETに移行しない限り,VS.NETの普及は望めない。

 もう一つの問題は,Javaにどれだけ対抗できるかだ。ある業界関係者は「Web開発ではJavaは既にデファクトに近い存在。VB.NETなどの想定ユーザーはすでにJavaを使っているのではないか」とみる。これに対し,マイクロソフトは「複数言語を使えるなどのメリットを訴えながら,挑戦者として臨む」(安藤部長)考えだ。

(田中 淳)