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 日本IBMと富士通が2月下旬,メインフレームの新製品を相次いで発表した。日本IBMはオープン系サーバーとの競合を意識して,Linux専用モデルを用意。低価格のUNIX互換OSも製品化した。富士通の新製品は,世界最高速の単体プロセサ性能を誇る。ただし,旗艦製品としては“地味”だ。

写真●日本IBMが発表した中下位機「e server zSeries 800」(左)と,富士通が発表した超大型機「GS21 600」(右)

 日本IBMが発表したのは,中下位機「e server zSeries 800(z800)」10モデル。すでに販売している64ビット・メインフレーム「zSeries 900(z900)」の下位シリーズだ。z800の単体プロセサ性能は40MIPS(本誌推定,以下同)から。z900の単体プロセサ性能は250MIPSなので,「それほど高い処理性能は必要ない」というユーザーが主な販売対象となる。

 日本IBMはz800を,オープン系サーバーの対抗機として積極的に売り込んでいく方針だ。そのために「Turbolinux Server for zSeries and S/390」を搭載するLinux専用モデルを用意した。複数のWebサーバーやメール・サーバーを1台に統合する用途での利用を見込む。

 加えて日本IBMは,z800専用のOSとして「z/OS.e」も製品化した。既存の「z/OS」から,基幹系システムの中核として広く利用されているミドルウエア「IMS」と「CICS」,およびCOBOLのコンパイラを実行する機能を取り除いたもの。この分,利用料金をz/OSの10分の1程度に引き下げた。z/OS.eは,データベースの「DB2」やアプリケーション・サーバーの「WebSphere」などは実行できるので,eビジネス分野での利用に不便はない。さらに,UNIXと互換のAPIを装備しているので,ERPパッケージ(統合業務パッケージ)の「R/3」なども実行できる。

 ユーザーはz/OS.eとTurbolinuxを,必要な可用性の高さに応じて使い分けることになる。「z/OS.eはz/OSと同じコードでできているので,z/OSと同様の可用性を持つ。一方,Turbolinuxは現状では,パソコン・サーバーのOSとしての可用性しかない」(日本IBMの星野裕エンタープライズ・サーバー製品事業部長)。

 日本IBMはz800を,既存のIBMメインフレーム・ユーザーへの更新用としても売り込む。「既存ユーザーの移行だけで,1年間で数百台の出荷が見込める」(日本IBMの星野事業部長)。z800は中下位機との位置づけだが,最上位機の処理性能(4プロセサ構成)は636MIPSに達する。このため,かつての大型機9121や,S/390並列サーバーG3までの既存モデルが移行の対象となるからだ。

 一方,富士通が発表したのは,超大型機「GS8900」の後継となる「GS21 600」7モデルである。単体プロセサ性能は300MIPSで世界最高速。16プロセサ構成の最上位モデルの処理性能は3000MIPSに達する。

 ただし,世界最高速は高く評価できるものの,GS21 600はメインフレーム国内最大手の富士通の“旗艦製品”としてはインパクトに欠ける。これまでの世界最高速機,日立製作所の「Skyline Trinium」(単体プロセサ性能250MIPS)を追い抜くのに2年半という長い時間がかかった。さらに,最上位モデルの処理性能は,依然としてSkyline Triniumの3200MIPSを上回ってはいないからだ。

(森 永輔)