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 NECがシステム・インテグレーション事業で勝負に出た。オープン系による基幹システム構築需要の開拓に世界規模で取り組む。米ヒューレット・パッカード(HP)の力を借りて,海外市場を本格的に攻める。自社の基幹システム構築用ミドルウエア「OpenDiosa」を前面に押し出す。

写真●NECソリューションズの金杉明信カンパニー社長
(写真撮影:的野 弘路)

 「今後,NEC本体は,オープン環境下におけるミッション・クリティカルなシステムの構築に注力する」。NECの西垣浩司社長は5月16日,半導体部門の完全分社化を発表した席で,こう発言した。「この分野で豊富な実績があるOpenDiosaをHPと一緒に世界規模で展開する」と続ける。

 西垣社長の発言は,前日の5月15日に正式発表した米HPとの提携を受けてのもの。一時は儲け頭だった半導体部門を切り離したNECにとって,システム・インテグレーション事業の拡大は最優先課題である。特に,これまで弱かった海外事業のテコ入れが急がれている。

 しかしNEC単体では,海外ユーザーの攻略は難しい。海外における営業やシステム構築要員が決定的に不足しているからだ。現地のシステム・インテグレータやコンサルティング会社を買収する手もあるが,「特徴を明確にせず,総花的に海外に挑むのはリスクが多すぎる」(NECソリューションズの金杉明信カンパニー社長,写真)。

 そこでNECは,今回のHPとの提携を機に,「ポスト・メインフレーム時代の市場におけるリーダーシップを確立する」(西垣社長)と社内外に宣言することにした。具体的にはHPのUNIXサーバーで動作する,NECの基幹システム構築用ミドルウエア「OpenDiosa」をHPに提供し,北米を中心とした海外ユーザーの基幹システム構築プロジェクトに利用してもらう。これを突破口にして,「グローバル企業のシステム構築商談に割り込む」というのがNECのシナリオだ。

表●NECと米ヒューレット・パッカード(HP)の協業の概要

 ユーザーによっては,NECとHPが共同でプロジェクトに取り組む。「2002年内に数プロジェクトを立ち上げ,2~3年後には全世界で100プロジェクトを成功させる」とNECは目論む([拡大表示])。

 一連の戦略の要となるOpenDiosaは,旧住友銀行の勘定系システム向けに開発したメインフレーム用ミドルウエアをUNIX環境に移植した製品。旧KDDの基幹システムや三井住友銀行の営業店ハブ・システムなどで実績がある。

 ただし,OpenDiosaの完成度が,海外のエンジニアが安心して使いこなせるレベルに到達しているかどうかは定かではない。NECはこれまで大型プロジェクトのたびに,OpenDiosaの強化を続けている。開発投資は累計で1000億円に達する。NECソリューションズの金杉カンパニー社長は「OpenDiosaの機能や安定性は,すでに完成の域に達している」としている。

 そうした意味では,八千代銀行が2003年1月に稼働させる新勘定系システムと,NTTドコモが2003年春に動かす次期iモード・システムがOpen Diosaの完成度を測る試金石になるだろう。どちらのシステムもNECがHP製UNIXサーバーとOpenDiosaを使って構築する。

(星野 友彦)