写真●米IBMのアル・ゾラー ジェネラル・マネジャ
日本IBMはノーツの新版「Notes/Domino 6」を10月31日から出荷する。旧バージョンR4.6のサポート切れを来年1月に控え、新版へのバージョンアップを積極的に訴えていく。同時に、Exchangeユーザーの乗り換えを促す「Winback作戦」を展開、電子会議ソフトの普及にも注力する。

 3年半ぶりの大規模バージョンアップとなる「Notes/Domino 6」がいよいよ国内で登場する。米IBM ロータス・ソフトウエア部門のアル・ゾラー ジェネラル・マネジャ(写真)は、「費用対効果や生産性を上げる、といった企業のニーズにNotes/Domino 6は合致しており、10月1日に先行して出荷した米国では好評」と語る。国内でもすでに第一生命保険が、サーバー2161台,クライアント1万7000台をNotes/Domino 6へバージョンアップすることを決めている。

 Notes/Domino 6は、IBMの自律コンピューティング技術によるサーバー管理機能や、クライアント・ソフトの自動更新機能を備えており、管理コストを低減できるとしている。クライアント側では、データを見る「ビュー」や文書管理の機能を改善し、操作性を向上させた。

図●日本IBMが主張するExchangeと比べたときのNotes/Domino 6の主な優位点と戦略
Exchangeからの乗り換えを促す「Winback作戦」を本格展開する

 一方で、ノーツ・ユーザーの移行時期を狙って、マイクロソフトがノーツからExchangeへの乗り換えを促している。これについてゾラー氏は、「セキュリティの高さや、レプリケーション(データ複製)機能、アプリケーションの高速開発手法(RAD)、予定管理機能などにおいて、Exchangeよりも優位にある」と主張する([拡大表示])。日本IBMの堀田一芙(かずふ)常務ソフトウエア事業部長は、「電子メールや掲示板機能などをノーツからExchangeに乗り換えた企業でも、文書管理などでノーツがまだ利用されている。ノーツをこれまで利用してきた社員の経験やノウハウが企業に蓄積されている。乗り換えを検討する企業は、こうしたことを正しく評価すべき」と訴える。

 逆に、日本IBMは、Exchangeからノーツへの乗り換えを促す「Winback作戦」を本格展開する。乗り換え時の価格面での優遇や、Exchangeで管理しているデータをノーツ環境へ移行するツールの提供などを行う。乗り換え価格は明らかにしていないものの、「ライセンス料を気にせず乗り換えてもらうよう、かなりの割引をする。IBMは長期にわたって利用契約をしてもらうことを目標にしている」(ゾラー氏)。

 このほか日本IBMは、ノーツと組み合わせて利用できる電子会議ソフト「Sametime」の国内での普及にも力を入れる。「欧米とは文化が異なり、これまで日本では普及が進まなかった。今後は、翻訳機能や在席確認機能の良さを訴えていきたい」(ゾラー氏)。翻訳機能は、例えばチャットで日本語を入力すると、サーバー側で自動翻訳し、海外拠点のユーザーの画面には英語で表示するもの。チャットをしながら画面上で共有しているグラフなどを指し示すことも可能だ。

(坂口 裕一)