東京三菱銀行は10月15日、法人顧客向けのインターネット取引サービス「東京三菱BizSTATION」の本格販売を開始した。残高照会や振り込み業務に加え、融資受付や契約に至る諸取引をWeb経由で処理できるようにしていく。電子証明書方式を導入するなど、Web基盤を全面刷新した。

図1●東京三菱銀行の法人向けインターネット・サービス「東京三菱BizSTATION」の仕組み
 「法人顧客はブラウザさえ用意すれば、銀行取引の大半をWeb経由で処理できる」。東京三菱BizSTATIONの開発にあたって、東京三菱銀行はこうした目標を立て、法人顧客との取引プロセスや事務規定を洗い直すとともに、取引を処理する基盤となるWebシステムを新規に構築した。本誌の調べによれば、総開発費は約50億円とみられる。

 新しいWeb基盤は、振り込みや残高照会といった、インターネット・バンキング・サービスを提供するとともに、申請書や契約書といった文書を安全にやり取りできる「セキュア・メッセージ」と呼ぶ仕組みを取り入れた(図1[拡大表示])。法人取引をWebで処理するには、紙による文書のやり取りをなくす必要があるからだ。安全性を高めるために、法人顧客に電子証明書を発行し、文書データに暗号をかける。

 さらに来年3月末までに、東京三菱銀が持つ既存のインターネット・サービスについても、BizSTATION経由で利用可能にしていく。シングル・サインオンの機能を提供、法人顧客が1回のログインでさまざまなサービスを利用できるようにする。こうした包括的なWeb基盤を用意した都市銀行は、東京三菱銀が初めて。

10万社の法人顧客を対象に販売

 本格販売に先立って、東京三菱銀は7月15日からBizSTATIONを試行してきた。当初は200社で試行を始め、10月上旬の段階では、550社が利用している。今後は、現行のEB(エレクトロニック・バンキング)サービスを利用している法人顧客10万社を対象に、BizSTATIONを提案していく。新Web基盤は、10万顧客が登録しても処理できる設計にした。BizSTATIONは月間手数料2000円の有償サービスだが、来年3月までに申し込んだ法人顧客に対しては、手数料を半年間無料にする。

 10月の段階で使えるBizSTATIONの機能は、セキュア・メッセージとインターネット・バンキング・サービス。セキュア・メッセージでは、外国為替の送金到着案内と入金指図、借り入れ相談と申し込みがWebブラウザからできる。

 従来、外為関連の案内や指図をするには、電話を使っていた。このため、顧客あるいは銀行側の担当者が不在のときには、何度も電話をかけなければならなかった。借り入れ申し込みには紙の申込書を使っていた。

 インターネット・バンキング・サービスには、顧客内部で申請と承認というワークフローを実現できる機能、1回の操作で最大10件の即時振り込みをする機能、振込日をあらかじめ予約しておく機能を盛り込んだ。これらは既存のEBサービスの顧客から要請されていたものである。

 さらに2003年3月をメドに、法人顧客向けの経済情報提供Webサイト「ビジネススクエア(SQUET)」と、BizSTATIONを連携できるようにする。このほか、法人顧客向けの電子調達サイトの連携を検討している。2003年4月以降には、電子契約など新しい機能を追加していく。一例として、法人顧客が為替をWeb経由で予約する新システムを、BizSTATIONと連携させる予定である。

 東京三菱銀は、BizSTATIONの本格販売を機に、顧客窓口の一本化にも取り組む。インターネット、営業拠点、電話といった各種の顧客対応手段の役割を整理し、顧客が目的に応じて便利なチャネルを選択できるようにする。例えば、住所変更など諸届けは、BizSTATIONに一本化することを検討していく。

(谷島 宣之=コンピュータ第一局編集委員)