NECは10月22日、1件当たり数十億円の大規模基幹システムを、オープン系技術を中心に開発する、と事実上宣言した。これまでに大手企業向けシステム開発で蓄積した経験を基に、必要な開発・運用技術を体系化。大規模な基幹系をオープン・システムで構築する準備を整えた。

図●オープン技術を利用した大規模基幹システム開発に注力するNECの戦略
 国産メインフレーム・メーカーのNECが、オープン系技術を使った大規模基幹システム開発に本格的に取り組む。1件当たり数十億円規模の大規模基幹システムを「今後3年間で50件開発していく」(NECの川村敏郎取締役常務)計画だ。

 同社のシステム・インテグレーション事業の6割は、すでにメインフレームやオフコンを一切使わないものになっている。全盛期に売り上げが年間6000億円に達したメインフレームも、今や年間400億円弱にすぎない。だが、高可用性を求められる大規模基幹システムは、メインフレームの“牙城”として残っていた。NECはメインフレームのサポートは続けると強調するものの、今回の発表で最後の牙城もオープン・システムに明けわたしたと言える([拡大表示])。

 「当社は、8年にわたってオープン・システムの構築に挑戦してきた。例えば、三井住友銀行の営業店システムでは、約50台のUNIXサーバーを使って制御システムを構築している。これまでの経験で得たノウハウを体系化し、短期間かつ安価にオープン・システムを適用できるようになった」(川村常務)。

 同社が体系化したオープン・システムの開発手法「アドバンストDOA」は、データ中心アプローチに基づく分析・設計手法である。これに沿ってシステムの分析・設計を進めることで、業種・業務ごとに用意したひな型「アプリケーション・フレームワーク」を有効利用し、新規開発部分を極力減らすことができるという。アプリケーション・フレームワークとして、「バンキング」、「課金システム」などをそろえた。このほか、データベースなどのひな型も用意した。同時アクセス・ユーザー数や目標とするレスポンス時間に応じて、最適なパラメータを選択できる。

 これらは目新しい開発手法ではないが、NECは「すべて実際の開発事例に基づいて作っており実証済みである点が強みだ」(NECの矢島竜司ソリューションビジネス企画部部長)と強調する。プロジェクト全体は、開発とテストを繰り返し行うスパイラル方式で進める。

 運用面では、自律コンピューティングの構想「VALUMOバルモ」を発表した。システムが障害を自己修復したり、使用状況の変化に対応する技術から成る。自律コンピューティングの実用化を進める米IBMなどの構想とほぼ同じだ。

 具体的には、運用管理システムの「WebSAM」に、ソフトの稼働状態を監視し、障害が発生した場合には、運用方針に従って復旧する機能を加える。システム連携ソフトの「OpenDiosa」には、複数のコンピュータを論理的に1台のコンピュータとして運用する仮想化機能などを追加していく。2004年度末までに製品群をそろえる方針だ。

(森 永輔)