GPSアンテナを内蔵した携帯電話の業務利用が始まった。きっかけはKDDIが10月1日に始めた新サービス。これを利用すると、ユーザー企業は機器保守や営業の担当者の位置を、Webブラウザから容易に把握できる。専用のシステムが必要で高価だった従来に比べ、安価に実現できる。

図●パソコンのWebブラウザにGPS機能付き携帯電話の位置を表示した画面
「移動中」、「荷卸し中」などのステータスや、位置情報の精度をA、B、Cの3段階で表示できる
 KDDIが10月から提供しているASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービス「GPS MAP」は、ユーザー企業のパソコンのWebブラウザに、社員が持ち歩いているGPS(全地球測位システム)アンテナ内蔵の携帯電話の位置を表示するサービスである([拡大表示])。GPS携帯電話そのものもKDDIが提供する。「10月末の時点で、数十社から申し込みをいただいた。反響は上々」(KDDIの小柳琢磨ソリューション営業本部営業推進部販売促進室ソリューショングループリーダー)という。

 金融情報サービス大手のブルームバーグL.P.は、情報配信先の企業に設置する機器の保守業務を効率化するため、GPS MAPを導入した。保守部門の管理者がKDDIのサーバーにアクセスし、Webブラウザに保守担当者の位置を表示することで、トラブル発生場所にいち早く派遣できるようにする。KDDIによると、このほかにも「営業、配送、介護といった業務の効率化を狙って、GPS MAPの導入を決める企業が出てきた。広大な空港で整備士がどこにいるかを把握する用途にも使われている」(小柳氏)。

 GPS MAPの最大の売りものは、導入コストの安さだ。GPS携帯電話は1台2万円程度。ASPサービスも1台当たり月額2000円で利用できる。このような安価にもかかわらず、GPS衛星からの電波の受信状況が良ければ、数メートルから10メートルの誤差で位置を把握できる。これまではGPS MAPと同様の仕組みを実現しようとすると、GPS機能付きの携帯情報端末(PDA)や車載の専用装置、地図ソフトなどを購入したり、サーバー・ソフトを独自開発する必要があり、全体で数百万円以上のコストがかかった。

 ただし、GPS MAPには制約もある。例えば、パソコンからGPS携帯電話に位置情報を送るよう指示を出してから、結果が返ってくるまでに最大で1分弱もかかる。「位置情報の送信には、携帯電話で動作するJavaアプリケーションを利用しており、あらかじめ起動しておかないと、起動に数十秒かかる。GPS電波の受信状況が悪い場合は、再測定に時間がかかる」(小柳氏)。業務に利用するには、こうした制約による影響の大きさを検証しておく必要がある。この点についてKDDIは、「さまざまな業務への適用が始まったが、現段階ではどの企業も試験導入の段階」(同)と説明する。

 KDDIは試験導入した企業の反応を参考にしながら、来年3月までにASPサービスの機能を強化していく。例えば位置情報に加え、「移動中」、「配送中」といった“ステータス”を示す項目を業務に合わせて追加・変更する機能や、緯度・経度を基にした地名によって社員の1日の動きを記録・出力する機能などを計画している。

(坂口 裕一)