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独自フレームワークで弱点を補完

 エンジニアの教育と並行して、インテグレータ各社は .NET Frameworkの機能を補完する独自フレームワークの整備を急ぐ。フレームワークとは、システム開発を効率良く進めるためツールやソフトウエア部品、開発支援ツールをまとめたもの。システム設計手法や開発方針を記したドキュメントやマニュアルも含む。

 インテグレータ各社が独自フレームワークを整備するのは、.NET Frameworkの機能だけでは、ユーザー企業が求めるシステムを構築できないからだ。ISIDの井口氏は、「高い信頼性が求められる基幹業務システムを構築するには、 .NET Frameworkが備える機能だけでは足りない。例えば、エラー処理や不正アクセスの防止機能が不足している」と指摘する。

 インテグレータ各社はこれまで、Windows NT4.0/2000環境向けにこうしたフレームワークを独自開発し、システム構築に利用してきた。しかし、.NET Frameworkではアプリケーションの開発スタイルが大きく変わったため、独自フレームワークの作り直しを迫られた。.NET Frameworkの普及を見越して、Java向けに開発したフレームワークを移植するインテグレータが多い。ISIDは来年3月までにJava用に開発したフレームワークを .NET Frameworkに移植する。野村総合研究所もJava用のフレームワーク「オブジェクトワークス」を .NET Frameworkに移植している。来年1月以降、社内で利用を始める。

図2●日立ソフトウェアエンジニアリングの.Net用開発フレームワーク「anyWarp for .NET Framework」の仕組み

 日立ソフトはこの11月、独自の開発フレームワーク「anyWarp for .NET Framework」の販売を始めた。このフレームワークの特徴は、画面や画面遷移部分と、業務ロジック部分のソフト部品(コンポーネント)を分離するための「中間層」に当たるコンポーネントを用意したことだ。中間層のコンポーネントが、それぞれの部分のコンポーネント間のやり取りを仲介する(図2[拡大表示])。

 「画面や画面遷移部分と、業務ロジック部分を別々のエンジニアが並行して開発しやすくすることで、システム構築期間を短縮できる」と、日立ソフトでWindows環境のシステム構築支援部隊を率いる本間孝一バックオフィスソリューションセンタ長は説明する。日立ソフトはanyWarp for .NET Frameworkの開発方法論の中で、アプリケーションを画面や画面遷移部分と業務ロジック部分に分けて開発することも明確に規定している。「anyWarpを使えば、システム構築期間を4割程度短縮できる」(本間センタ長)と見込んでいる。

可用性重視のミドルウエアも登場

 .NET Frameworkの弱点を補うミドルウエアを開発しているインテグレータもいる。富士通は12月25日から、.NET Framework上で動くアプリケーションの可用性を高めるミドルウエア「Interstage Business Application Manager for .NET V1」を出荷する。

 このミドルウエアは、プロセサやメモリといったサーバーの資源(リソース)を一連の処理ごとに配分・管理する機能や、同様の処理要求を複数受け付けたときに一つひとつの要求を順番に処理するキューイング機能などを備える。「アプリケーションを確実の稼働させるために不可欠な機能のなかで、.NET Frameworkだけでは足りないものを盛り込んだ」と、富士通ソフトウェア事業本部ミドルウェアプラットフォーム事業部第一開発部の藤井泰部長は説明する。

 フレームワークを発展させて、電子商取引(EC)システムや業務システムの開発に特化したパッケージ・ソリューションを提供するインテグレータも現れつつある。NECシステムテクノロジーは来春までに、ECシステム構築用パッケージ「eBizSolution」の .NET Framework版を開発する。「商品管理」や「注文管理」などのソフト部品を組み合わせてシステムを構築する。「最大で2~3倍開発効率を向上できる」と西龍己(たつみ)常務は見積もる。

 富士通ビジネスシステム(FJB)は来年1月から .NET Framework仕様のコンポーネント群「WebAS Component」を使ったシステム構築サービスを開始する。同社がこれまで蓄積してきたCOBOLプログラムをもとに作成した約200種類のコンポーネントを使い、販売管理や勤怠管理のシステムを短期間で構築する。「コンポーネントの元となったCOBOLプログラムはいずれも社内で利用実績があり、動作検証もすんでいるので、すぐに実際のシステム構築に適用できる」とシステム技術統括部コンポーネント開発センターの宮原信哉 担当部長は説明する。コンポーネントは富士通の.NET Framework用のCOBOL開発・実行環境「NetCOBOL」を使って作成した。

(西村 崇)