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SAPとオラクルが中堅中小開拓に本腰

パートナと共同で低料金のERP導入サービス

日経コンピュータ 2003年7月14日号,14ページより

大手ERPパッケージ(統合業務パッケージ)ベンダーのSAPジャパンと日本オラクルは、これまで手薄だった中堅中小市場の開拓に本腰を入れる。パートナが開発した「テンプレート(ひな型)」を活用し、低料金かつ短期間でERPパッケージを導入できるサービスを相次ぎ提供し始めた。

 日本オラクルは6月、新たなパッケージ導入支援サービス「Oracle NeOネオ」を開始した。従来より低料金かつ短期間で導入できるようにするのが狙いだ。SAPジャパンも今年3月から、同様のパッケージ導入支援サービス「mySAP All-in-One」を提供している。

 SAPとオラクルが新サービスで狙うのは中堅中小企業。ERPパッケージの導入料金を引き下げることで、これらの企業が導入しやすくした。「All-in-Oneを使うと、導入にかかる費用と期間をともに従来より30%削減できる」。SAPジャパン事業開発本部長の今井俊哉バイスプレジデントはこう説明する。オラクルの三澤智光パートナービジネス本部長執行役員も、「NeOを使えばハードやソフト、システム構築費などを合わせて、総額1億円以下で基幹パッケージを導入できる。期間も多くの場合、従来の半分以下の6カ月程度に短縮できる」と明言する。

 これまで大手企業を中心にERPパッケージを販売してきたSAPやオラクルにとって、中堅中小市場の攻略は長年の懸案事項。SAPジャパンの今井氏は、「大企業市場に続いて中堅中小市場でも成功しなければ、当社の成長は止まってしまう」と危機感をあらわにする。日本オラクルの三澤氏も、「金融機関を中心に大手企業は押さえた。次の課題は、今後の伸びが期待できる中堅中小市場の開拓だ」と話す。

 SAPは、ソフトの総売上高に占める中堅中小企業からの売り上げの割合を、3年後には20%に引き上げるという目標を設定している。現在はその半分の10%程度。オラクルはNeOを通じて、ERPパッケージのシェアを現在の約20%から30%に高めることを目指す。

「テンプレート」の活用がカギ

図1●SAPジャパンと日本オラクルが提供する中堅中小企業向け短期導入支援サービスで活用する「テンプレート」の中身

 SAPとオラクルが提供する中堅中小企業向け導入支援サービスの核となるのは、「テンプレート(ひな型)」と呼ばれるノウハウ集である。(1)設定済みソフト、(2)導入方法論、(3)ドキュメントで構成する(図1[拡大表示])。

 設定済みソフトは、ERPパッケージのパラメータやマスター・データを素早く利用できる状態にあらかじめ設定したもの。SAP製パッケージの場合なら、事業領域関連や総勘定元帳関連、連結会計関連といった項目のパラメータを設定しておく。

 導入方法論は、これまでの成功事例を整理整頓し、導入手順として体系化したもの。業界固有の商慣習に合うよう業種業態ごとに用意した。ドキュメントは、プロジェクトの役割分担表や業務別のプロセス詳細図など、プロジェクトを円滑に進めるために欠かせない文書類のことだ。

 SAPとオラクルの新サービスは、このテンプレートを活用して作業の手間を減らし、料金と導入期間をともに引き下げた。「パートナや我々に導入ノウハウが蓄積されてきたので、このようなサービスを提供できるようになった」とSAPの今井氏は話す。

SAPはERP単体製品も投入

 SAPのAll-in-OneとオラクルのNeOは、中堅中小企業のパッケージ導入に適したテンプレートを推奨し、パートナと共同で拡販する点では共通している。対象もほぼ同じで、主に250~500人の中堅企業を狙っている([拡大表示])。

 サービスの内容も共通している。テンプレート、パッケージのライセンス、パッケージを動かすハードウエア、導入サービスなどから成る。両サービスともに、ユーザー企業への提案段階でそれぞれの費用を明示し、金額を固定化する(図2[拡大表示])。

表●SAPジャパンと日本オラクルの中堅中小企業向け短期導入支援サービスの概要
 
図2●Oracle NeOの価格例*1

 一方で、All-in-OneとNeOでは違いも多い。まず大きく違うのは目安料金だ。NeOは総額1億円以下なのに対し、All-in-Oneは企業規模に応じて2億~7億円程度と割高になっている。オラクル製品のライセンス料金がSAP製品より安価なのに加えて、NeOは後発ということもあってSAPに比べて戦略的な価格に設定した。

 NeOとAll-in-Oneでは、対象とするソフトも異なる。オラクルのNeOは、ERPパッケージやCRM(顧客関係管理)ソフトなどで構成される業務パッケージ群「Oracle E-Business Suite」を対象にする。これに対し、All-in-OneではERPパッケージ「R/3 Enterprise」に的を絞る。

 ただしSAPはこれまでR/3 Enterpriseの単品販売をしておらず、ユーザーはERPパッケージやCRMソフト、SCM(サプライチェーン管理)ソフトをセットにした業務パッケージ群「mySAP Business Suite」を購入する必要があった。そこでSAPはAll-in-Oneの普及を目指し、ERPパッケージだけに利用範囲を限定した廉価版パッケージ「mySAP ERP」を7月中に出荷する計画だ。mySAP ERPは、R/3 Enterpriseとミドルウエア群「Net Weaver」から成る。mySAP ERPのライセンス料金は、mySAP Business Suiteの8割程度(約73万円)である。

 SAPはAll-in-Oneのほかにも、中堅中小企業を開拓するための手を打つ。来春までに中小企業や大企業の関連子会社向けの「SAP Business One」というパッケージを出荷する。これは、財務会計や管理会計、販売管理、在庫管理といった機能に限定したもの。SAP Business Oneのライセンス料金は、mySAP Business Suiteの6割程度(約55万円)とみられる。

(戸川 尚樹、矢口 竜太郎)

本記事は日経コンピュータ2003年7月14日号に掲載したものです。
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