ベンダー各社による、UNIXサーバーのリプレース合戦が熱を帯びている。サン・マイクロシステムズと日本ヒューレット・パッカード、日本IBMは、既存UNIXサーバーの下取りを中心としたリプレース促進プログラムを用意。さらにデルはIAサーバーへの移行サービスを5月中旬にも始める。

図●日本市場におけるUNIXサーバーの出荷台数
出荷台数が最も多かった2001年は、サン・マイクロシステムズが52%のシェアを獲得していた
表●ベンダー各社のUNIX機リプレース・プログラムの概要
 「2000年から2001年にかけては、ドットコム・ブームやeビジネスが叫ばれたころ。企業はこぞってUNIXサーバーを導入した。こういったサーバーがまさに今、リース契約の更新時期を迎えつつある」。ベンダー各社が既存のUNIXサーバーのリプレースに注力する理由を、調査会社であるガートナージャパンの亦賀忠明(またがただあき)エンタープライズ・インフラストラクチャ担当主席アナリストはこう説明する。

 同社の調べによると、UNIXサーバーの出荷台数は2000年が5万5000台、2001年は6万台に達している([拡大表示])。リプレースの対象は10万台をはるかに超える。景気の回復を受け、企業のIT投資意欲が高まっていることもUNIXサーバーの更新につながるとベンダー各社は期待している。

各社の狙いはサン製UNIX

 なかでも鼻息が荒いのがデルだ。同社は5月中旬にもUNIXサーバーから自社のIAサーバーへの移行サービスを開始する([拡大表示])。同社は、UNIXサーバーのリプレースによって、基幹系システムへの食い込みを狙う。デルの多田和之エンタープライズ システムズ マーケティング本部本部長は、「当社は日本国内のIAサーバーの出荷台数で首位に立った。さらにサーバーの出荷台数を増やすために、UNIXサーバーのリプレースに注力するのは当然」と語る。さらに、「IAサーバーはUNIXサーバーにすでに処理性能で負けないし、1台当たりの価格は圧倒的に安い。リプレースによって、処理性能は従来の2倍になり、運用コストが3分の1から4分の1に激減するはずだ」とコスト面のメリットを強調する。同社は「基本的にUNIXサーバー全部が対象だが、特にシェアの高いサン製品を狙う」(多田本部長)という。

 デルの移行サービスの主なメニューは二つ。一つはアプリケーションやデータの移行支援サービス。もう一つは、運用保守サービスの新メニューであるプラチナサービスだ。アプリケーションやデータの移行支援サービスは、短期間での移行を目的にしたもの。デルのコンサルタントが、どのような構成のシステムに移行すべきかを提案する。受付用Webサイトも開設する。

 プラチナサービスは、従来の運用保守サービスの内容を強化したもの。保守担当者が顧客のサーバーを定期的にチェックするほか、専任の保守担当者をつける。サービス・マーケティング本部の安斉孝之本部長は、「UNIXベンダーの手厚い保守サービスに慣れた顧客のニーズにこたえるために、メニューを強化した」と語る。

 このほか、移行サービス開始に合わせて、日本ユニシスやTISといったパートナ企業と協力し、移行サービス専任組織を編成する。

下取りと移行サービスで攻勢

 デルに攻められる立場になったUNIXベンダーも、リプレースに向けた施策を打っている。既存UNIXサーバーの下取りプログラムの強化や、移行のためのコンサルティングや支援ツール、管理者向けのトレーニング・コースを用意するなど、各社とも顧客の新規取り込みや維持に必死だ。

 4月1日からUNIXリプレース・プログラムを始めた日本ヒューレット・パッカード(HP)の栄谷政巳(さかえだにまさみ)OEマーケティング部部長は、「UNIXサーバーの出荷金額をみてもサン・マイクロシステムズの落ち込みが目立っている。ここでシェアを奪いにいくのは当然」とプログラムの狙いを説明する。

 同社のプログラムの中心はサーバーの下取りとOSのディスカウントだ。下取り価格は10万~200万円で、リプレース対象がサン製品の場合、OSの価格を80%値引きする。

 日本IBMも「シェアが高い企業のポジションを低下させる」(pSeries事業部の細野輝人氏)とサン・マイクロシステムズのリプレースを狙う。IBMはリースで優遇策を打ち出した。まだリース期間が残っている場合に限り、リース解約金とサーバー更新費用を日本IBMに新規に支払うリース代金から差し引く。上限は新規に購入するサーバー価格の10%または2000万円。他社製UNIXサーバーからIBM製UNIXサーバー(eServer pSeriesでp650以上)へ移行する顧客が対象。

 各社に狙われた格好のサン・マイクロシステムズも負けてはいない。サン・マイクロシステムズ プロダクト&ソリューション・マーケティング本部の山本恭典本部長は、「IBM製品は絶対的な台数自体が少ない。狙いは、日本HPのUNIXサーバーだ。ItaniumやAlphaといったプロセサを搭載したUNIXサーバーは先が見えない。顧客の不安を取り除きたい」と語る。同社は4月15日から9月30日までの期間限定で、他社と自社のUNIXサーバーの下取り額を通常の2倍に設定した。

 一方、国産ベンダーの動きは鈍い。日立製作所と富士通は、「現時点でリプレースのための策は特に実施していない」と回答した。唯一NECだけがリプレース促進策を打ち出す。「UNIXサーバーの置き換え需要があるのは認識している。競争力のある価格を提示することで、競合に対抗していく」(NXサーバ販売促進部の黒木加奈女部長)とし、5月中旬をメドに価格見直しを検討している。

(松浦 龍夫)