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三井物産は今年11月24日、新しい基幹系システムを全面稼働させる。併せて全社の業務プロセスを抜本的に改革する。EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の概念に基づいて業務プロセスの可視化を徹底。各事業部門で共通する業務を全社で集約するとともに、システムの統合を進める。

図●三井物産は今年11月、基幹系システムを刷新する
ERPパッケージ:統合業務パッケージ
 三井物産が約200億円を投じて構築を進めている新基幹系システムの名称は「MICANミカン」。構築プロジェクトを率いる粟田敏夫執行役員(経営改革推進部長)は、「MICANは単なるシステムのリプレースではなく、BPR(業務改革)のプロジェクト」と明言する。

 これは同社がMICANの導入に併せて、商社特有の組織のカベを打ち破ろうとしていることから出た発言。具体的には、19ある事業部門(営業本部)の業務プロセスを棚卸しし、各部門で共通するバックオフィス業務を全社共通部門に集約する。契約後の商品受け渡しや決済といったバックオフィス業務を、今年4月に設立した子会社「シェアド・サービス・センター(SSC)」が一手に引き受ける体制に替える。これにより「営業担当者には、担当商品の販売と新規ビジネスの創出に専念してもらう」(粟田執行役員)。システム的にも、これまでは事業部門ごとに構築していた営業管理システムの開発量が減るメリットがある。

 総合商社は文字通り、食品から鉄鋼に至る多種多様な商品を扱う。このため、各事業部門のバックオフィス業務を切り出すといっても一筋縄ではいかない。商品ごとに取り扱い単位や決済方法・期間が大きく異なるからだ。

 この問題を解決するため、三井物産はEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の概念に基づき、業務プロセスの可視化を実施した。2001年5月から2年2カ月を費やして、全業務プロセスを示すモデル図(As Isモデル)を作成。この図をたたき台に、プロジェクト・メンバーと営業部門のキーパーソンが、あるべき業務プロセス(To Beモデル)を考案した。「モデル図で表現すると、取り扱い商品は違っても、共通化できる業務プロセスはたくさんあることが分かった。図を基に議論したので、メンバー間のコミュニケーションも円滑だった」(粟田執行役員)。モデル図は、IDSシェアー・ジャパンのBPM(ビジネス・プロセス・モデリング)ツール「ARIS」を使って作成した。

 三井物産はTo Beモデルの作成を終えた昨年8月以降、MICANの開発を本格化させた。全社の会計システムと、営業管理システムのうち共通化できる部分は、SAPのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「R/3 Enterprise」で構築する([拡大表示])。住友商事が自社向けに開発したR/3のテンプレートをカスタマイズして導入する。「ゼロからR/3を導入するのでは開発期間が長引くと判断し、同業他社で稼働実績のあるひな型を適用することにした」(三井物産の黒田晴彦経営改革推進部IT戦略企画室長)。

(戸川 尚樹)