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野田純也 システム技術本部生産技術部主事システムエンジニア
重盛良太 システムコンサルティング部シニアシステムコンサルタント
吉本和彦専務取締役
弓崎伸彦 ビジネスイノベーションセンター経営戦略弓崎クラスター経営コンサルタント
竹村恵一 エンタープライズソリューション業務総括部主任調査役
 「自分のスキルの“位置”が分かったことは、今後のキャリア・プランを立てる上で参考になる」――。社内のIT人材を認定する「ITSSハイレベル認定」制度を発足させたみずほ情報総研で、最初の認定者の一人となったシステム技術本部 生産技術部システムエンジニアの野田純也氏は、こう語る。

 みずほ情報総研の「ITSSハイレベル認定」は、経済産業省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」の枠組みに沿って社員のスキルを評価・認定するもの。ITSSは11職種38専門分野で7段階のレベルを設定しているが、そのうち7職種を選び、レベル5~7に当たる高度なスキルを持つ人材を認定する。レベル5~7は、ITSSで「社内においてテクノロジやメソドロジ、ビジネスをリードする」人材とされているものだ。

 野田氏は「ITスペシャリスト」の職種で認定を受けた。「もちろんITSSのレベルがすべてではないが、一つの材料として参考になる」という野田氏の意見に、システムコンサルティング部シニアコンサルタントの重盛良太氏も同意する。さらに重盛氏はコンサルタントの立場から、「会社の視点で考えると、認定制度を通して社員のスキルを把握しておけば、最適なプロジェクト編成がしやすくなる。それが、社員の創造性や顧客満足度の向上につながる」と付け加える。

ITSSにはない「顧客の視点」を加え、自社に必要な人材を認定

 制度発足のそもそもの発端は、みずほ情報総研の母体企業の一つである旧・富士総合研究所が2003年度に実施したスキル調査だった。社内のIT人材約1500人を対象に調査したところ、プロジェクト・マネジャ(PM)やITの専門家が全体の8割を占めていた。市場や顧客を開拓できる人材があまりにも少ないという実態が明らかになった。この結果に対して吉本和彦専務取締役は、「会社の今後を考えると、コンサルタントやマーケティング担当者を育てる必要性を感じた」と語る。

 そこで昨年度に始めたのが、今回の「ITSSハイレベル認定」だ。まずは自社に必要な人材像を整理し、社員の目標となる人材像を明確にした。そのうえでプロとして認定することで、スキル向上へのモチベーションを高める。IT業界で広まりつつあるITSSに沿った制度であれば、認定を受けたという事実を顧客にアピールできるというメリットもあると考えた。

 認定に際しては、まずは書類審査し、それを通過した人に対して、吉本専務を委員長とする認定委員会(8人で構成)が面接審査を実施する。認定委員会はコンサルティングや営業といった現業部門のトップはもちろん、“第三者的な視点”を加えるために、みずほ情報総研の調査・研究部門や、評価制度のコンサルティングを依頼したグローバル ナレッジ ネットワークの尾藤伸一社長で構成する。

 審査で用いる評価指標は三つある。うち二つは、ITSSが標準で設けている、過去の経験や成果を測る「達成度指標」と現時点でこなせる仕事の能力を見る「スキル熟達度」。三つ目は、市場開拓力や新規事業を作る力、既存顧客の満足度を見る「市場性」という同社独自の指標である。「ITサービスでは顧客の視点が重要。ITSSにはない顧客満足度は当社の認定としては不可欠」(認定委員会のメンバーであるビジネスイノベーションセンター経営戦略弓崎クラスター経営コンサルタントの弓崎伸彦氏)という理由からだ。市場性は、主に顧客へのアンケート調査や、関連した質問で測る。

ITSSの職種では評価できない人材への対応、“育成”強化が課題

 昨年度は正式な合併前ということもあって、まずは旧・富士総研のIT人材について認定作業を実施。面接審査まで到達した社員が40人強で、最終的にはレベル7の該当者はなし。レベル5とレベル6がそれぞれ5~6人程度だった。今後は、合併した第一勧銀情報システムや興銀システム開発の人材も対象としていく。

 実施して見えてきた問題点は、現在のITSSの職種区分ではうまく評価できない人材がいること。例えばコンサルティングの仕事からシステムの設計フェーズへと橋渡しがうまくできる人材がいるが、コンサルタントとして認定するにはどうしても部分的な条件が足らないという。吉本専務は「このような人材は当社にとってかけがえのない人材だが、どうしてもITSSをベースにした尺度ではうまく評価できない。なんとか良い方法を考えたい」と話す。

 弓崎氏は「昨年度はまだ制度がスタートしたばかりなので、どうしても認定制度の運用に手が取られがちだった」と打ち明ける。そこで今年度からは各職種ごとの社内コミュニティを作り、ノウハウの共有や後進の育成について議論を進めてもらう予定。加えて、レベル6認定者がレベル5認定者の論文を審査することも検討している。認定委員会の事務局を務める、エンタープライズソリューション業務総括部主任調査役の竹村恵一氏は、「今年度以降は、人材育成という本来の目的にもっとフォーカスしていく」と語る。

 さらに、調査・研究部門への適用も検討している。「調査・研究の部門にも、ITソリューション分野のコンサルタントやマーケティング職種と共通の考え方が求められる。まったく同じ方法は無理かもしれないが、方法を模索していく」(吉本専務)。

高下 義弘=日経コンピュータ