図●三菱レイヨンが導入したEDI(電子データ交換)システムの受発注の流れ。全国の受注データや在庫データなどを,新設した受注センターで一元管理する。顧客企業から注文を受けると在庫データを確認し,工場や倉庫,外注先メーカーのシステムに自動的に出荷指示や生産指示のデータを送信する。工場などの出荷計画や生産計画をもとに顧客への納期回答も自動化する
三菱レイヨンは4月,主な取引先企業と外注先メーカー約40社との間でEDI(電子データ交換)による受発注システムを稼働させる。対象商品は,ヘルメットやパソコンのきょう体などの材料となるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂である。

 同社が扱っているABS樹脂は4000種類と多く,受注件数は1カ月当たり約7000件,年間で8万件を超える。新システムの導入で,ABS樹脂の取引全体の8割程度を自動化。受発注業務を効率化して受注から出荷までのリードタイムを短縮する。在庫削減などにより,年間6億5000万円程度のコスト効果を見込む。

 これまで三菱レイヨンでは,東京,名古屋,大阪の各支店の担当者が,取引先企業から電話やファクシミリで受けたABS樹脂の注文を個別に処理していた。「ABS樹脂は利幅が薄く,業界内の競争もし烈。この中で生き残るためにはEDIで受発注業務を集約し,効率を向上させる必要がある」(岡田昭太郎BPR推進室長)と判断した。

 受発注システムの稼働プラットフォームはNEC製メインフレーム「ACOS」。取引先企業とは専用線や公衆回線で接続する。システムは,取引先企業から注文を受けると,まず在庫データを参照して自社工場や倉庫に在庫があるかどうかを確認する。在庫があれば,工場や倉庫の出荷管理システムに出荷指示のデータを送信。折り返し,出荷管理システムから納期回答データを受け取り,これを取引先に送る。工場や倉庫に在庫がない場合は,工場や外注先メーカーの生産管理システムに,生産指示データを送る。工場や外注先メーカーはこのデータを使って生産計画を調整し,翌日までに三菱レイヨンの受発注システムに生産計画データを送信する。受発注システムは受け取った生産計画データをもとに,取引先に納期回答データを送信する。

 三菱レイヨンの受発注システムは,取引先から受け取った注文データが正しいかどうかをチェックする機能も備える。例えば,注文データの単価が違っていたり,通常よりも桁違いに多い注文を受け取った場合は,三菱レイヨンの営業担当者に,注文内容を取引先企業に確認するように促す電子メールを自動的に送付する。

(栗原 雅)