
新システムを使うと,投資顧問会社の住友ライフ・インベストメント(東京都港区)から住友信託銀行に送られてくる「運用指図データ」と,運用指図を受けて有価証券を取引した証券会社から送られてくる「取引報告データ」を比較し,矛盾がないかどうかを確認(マッチング)できる。矛盾がなかった取引について,約定データを住友信託銀行の会計システムに送信し,取引があった当日に約定記帳処理をする。この結果,保有資産の時価を迅速に把握できるようになる。従来は,約定日の翌々日に記帳処理をしていた。
マッチング処理を担うアプリケーションはNT4.0を搭載したパソコン・サーバーで稼働させる。住友信託銀行がVisual Basicを使ってアプリケーションを開発した。NTとVisual Basicを選択した理由は,「当行の要員にとって習熟度が高く,最も開発生産性が高いプラットフォームだったため」(証券管理サービス部ITチームの小丸一史主任調査役)。
開発は情報技術と業務知識の両方を持つITチームの行員5人と,同行に常駐している協力会社の技術者7人が担当した。現場の業務知識を持つITチームがマッチングにかかわる業務プロセスを見直し,「アプリケーションの要件を大きく省略できた」(小丸主任調査役)。さらにプログラムを部品化して再利用性を高めた。
(高下 義弘)