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 呉羽化学工業は1年半後の2002年4月に,独SAPのERPパッケージ(統合業務パッケージ)R/3のうち10モジュールを一気に稼働させる。R/3の稼働プラットフォームには,日立製作所のWindows NTサーバーを採用する。R/3が全面稼働した段階で,既存の基幹系システムとそれを動かしている富士通メインフレームの利用を打ち切る。10モジュールものR/3を一斉稼働させるのは呉羽化学工業がおそらく初めて。

 R/3の導入に先立って呉羽化学工業は2001年4月に,R/3用のデータ・ウエアハウス・ソフト「BW」を使った情報系システムを稼働させる。この情報系システムは営業担当者や経営層を対象にしたもので,販売データなどを参照・分析する目的で利用する。2001年4月の稼働段階では,富士通メインフレームにある既存の基幹系システムからBWへ販売データなどを転送して,データ・ウエアハウスを構築する。R/3が全面稼働した段階では,R/3からデータをBWに転送できるようになる。

 呉羽化学工業がR/3とBWを導入する狙いは,「R/3に合わせて既存の業務を見直し,改革する」(重田昌友ERP推進室長)こと。さらに,「会計データや在庫/販売データなど,利用部門で必要となるデータを迅速に引き出し,活用できるようにする」(重田室長)狙いもある。既存の基幹系システムは,必要なデータを蓄積しているものの,利用部門が使いやすい形でデータを引き出したり加工する際に,手間とコストがかかっていた。

表●呉羽化学工業が2002年4月に本稼働させるR/3システムとプロジェクトの概要

 R/3の導入を決めたのは1999年9月。1999年12月にSAPジャパン(東京都江東区)とR/3のライセンス契約を結び,導入プロジェクトを2000年3月から始めた。R/3の導入作業は,新設した「ERP推進室」が中心となって進める。ERP推進室には,社内のキーパーソンを11人,専任として配属した。導入に伴うコンサルティングはSAPジャパンに直接委託している。現在は,既存業務とR/3の機能のすりあわせをしている段階で,2000年内に基本仕様を固める計画である。

 同社はR/3の基本機能に業務をできるだけ合わせる方針で,R/3そのものの修正はしないという。導入を順調に進めるために,化学業界で先行してR/3を導入した事例に基づいたテンプレートをSAPジャパンから購入した。テンプレートはパラメータ設定や利用画面などをまとめたものだ。帳票の出力などR/3で足りない機能だけは,呉羽化学工業が外付けのソフトを作成して対処する。

 日本オラクルのERPパッケージOracle Applicationsなど他のパッケージもいくつか検討したが,導入事例が豊富であることからR/3を選択した。「Oracle Applicationsは柔軟にシステムを作成できるが,それではかえって開発期間がかかり,コストが膨らむ可能性があると考えた」(重田室長)。

(戸川 尚樹)