マヨネーズやドレッシングの製造大手であるキユーピーは,不況の中で増収増益を続けている。これを支えているのは,新規商品の開発による市場競争力の強化と,情報システムを活用した在庫削減の徹底である。2000年4月には商品ごとに在庫量を把握する「新鮮度管理システム」を稼働させ,日単位のデータに基づく製造計画立案を可能にした。2001年には,SCP(サプライチェーン計画)ソフトを導入する。

 不景気の影響を受けている食品業界で,キユーピーは堅実に増収増益を続けている(図1[拡大表示])。国内トップシェアを誇るマヨネーズは,一般家庭向けだけでなく,業務用としても利用されている。「最近では,コンビニエンスストアのおにぎりや,宅配ピザにも使われている。需要はまだまだ増えそうだ」(長谷部敏朗広報室課長)。今春に発売した,カロリーを抑えたマヨネーズの新商品「キユーピーハーフ」の販売も好調だという。

 同社のこうした好調さを,影で支えているのが情報システムだ。「IT(情報技術)を積極的に活用していくことについて,トップが十分な理解を示している」(山上英信情報物流本部長)。大山轟介社長自身が,同社の情報システムなどを担当する情報物流本部の本部長を兼務していたこともあるほどだ。

図1●キユーピーの業績推移(決算期は11月)
マヨネーズ,ドレッシング類などが好調で,増収増益を確保。2000年11月期は売上高2730億円,経常利益103億円を見込む

物流や在庫の管理で新システム

 キユーピーが今,目標として掲げているのは,「商品と情報の流れをスピード・アップすること」である。例えば同社の主力商品であるマヨネーズは,開封せずに冷蔵しておけば約7カ月間は保存できる。ところが,最近の消費者は少しでも新しい商品を求める傾向がある。実際,スーパーの棚には,製造から3週間くらいしかたっていないマヨネーズが陳列されている。

 商品の流れをスピード・アップするためには,物流の効率を高めると同時に,製造量を細かく調整して欠品が出ない程度に在庫量を圧縮する必要がある。物流に関してはすでに,同社の物流を主に手がける子会社のキユーソー流通システム(KRS,旧キユーピー流通システム)が1999年6月に配車管理システム「QTIS」を本格稼働。Web技術を利用することで,商品の配送やトラックの配車に関する情報を全社規模で管理できるようにした。「全社規模で荷物とトラックの空車の引き合わせをすることで,迅速にトラックを手配できるようになったのと同時に,荷物を積まないトラックを行き来させることがほとんどなくなった」(山上本部長)。

 在庫量を圧縮するためのシステムが,2000年4月に稼働した「新鮮度管理システム」である。国内の8工場で商品の製造計画を立てる担当者が,グラフや表で示される各商品の日単位の在庫量を参照して,計画を立案できるようになった。1996年に30日程度だった平均在庫日数は17日にまで短縮できた。2001年には,マニュジスティックス・ジャパン(東京都渋谷区)が販売する,需要予測と製造計画立案機能を持つSCP(サプライチェーン計画)ソフト「NetWORKS」を導入し,在庫量をさらに圧縮する。

 もう一つの目標として掲げる,情報の流れをスピード・アップするための施策が,全社規模でのネットワーク整備である。2000年10月には,同社のコンピュータ・センターである「情報システムセンター」と,本社,関連会社,支店,工場を結ぶネットワークを刷新。2001年夏までに営業所向けのネットワークも再構築する。キユーピーではロータス ノーツやイントラネットを使って,全社規模の情報共有を推進している。ネットワークの増強により,トラフィックの増加に対応する。

(坂口 裕一)