長引く不況のなか,ネットワークの再構築を図る企業にとって,通信コストの削減は“至上命題”となりつつある。中でも厳しい経営環境が続く建設業において,ハザマは全国約700カ所の拠点を結ぶネットワークを「IP-VPN」で再構築。これまで年間1億円かかっていた通信関連コストを3割削減することに成功した。再構築にあたっては,既存のネットワーク機器も活用するなどコスト削減に徹底的にこだわった。

 「最初は年間のコストを半額にすることを狙っていた。結果的には3割程度の削減にとどまったが,これでも十分に大きい」と満足げに語るのは,建設大手ハザマの落合純一企画部情報システム室課長だ。

 建設業は市場の冷え込みなどで依然として厳しい状況が続いている。情報システムやネットワークのインフラに向ける経営資源は決して潤沢とは言えない。このため,ネットワークの刷新を図る場合でも,単に通信速度や使い勝手を向上させるだけでなく,「いかにコストを削減するか」が重要課題となっている。

 こうしたなかで,ハザマは社内のネットワークをフレーム・リレー 注1)からIP-VPN 注2)に切り替えることで,大幅なコスト削減に成功した。従来のフレーム・リレー網では,年間の通信関連コストが1億円かかっていたが,新しいネットワークでは7000万円に減った。初期導入コストについても,既存機器を流用するなどの工夫をして約500万円に抑えた。

富士通が全面的に協力

 ハザマの新ネットワークは,富士通のIP-VPNサービス「FENICSビジネスIP」を利用して,全国約700カ所の拠点を結ぶものだ。700拠点の内訳は,東京・北青山にある本社(本店),茨城・つくばの技術研究所,全国10カ所の支店,31カ所の小規模事業所(店所と呼ぶ),そして約650カ所に及ぶ作業所である。各拠点からIP-VPNのアクセス・ポイントまでは専用線やISDNで接続する。

 このうち作業所については2000年1月に先行してIP-VPNを導入済み。2000年4月から,残る拠点への導入計画をスタートさせ,2001年2月にほぼ全拠点で導入を終えた。各拠点では,旧ネットワークへの接続回線とは別に,新ネットワークに接続する回線を引き込んで,切り替えを行った。この3月末には技術研究所で最後の導入作業を行い,ネットワークの移行がすべて完了する。

 ハザマは今回のIP-VPN導入にあたって,富士通の全面的な協力を得た。従来のフレーム・リレー網でも富士通のサービスを利用していた。「今までの付き合いから,IP-VPNサービスも富士通を選んだ。特に営業の担当者は,こちらのさまざまな要求に対してもよくやってくれた」(落合課長)。

(高下 義弘)