周波数が900MHz前後のUHF帯の電波を使って、リーダー/ライターとデータをやり取りするICタグのこと。13.56MHzや2.45GHzの周波数で無線通信するICタグが抱える問題を解決できるとして、ICタグの実用化を目指す業界団体や企業の注目を集めている。

 UHF帯ICタグの最大の特徴は、リーダー/ライターとの通信距離が長いことである。最大10メートル程度離れた場所にあるリーダー/ライターとデータをやり取りできる。

 さらに、UHF帯ICタグと通信するリーダー/ライターが発信する電波は物体の裏面に回り込む性質を持っている。このため物陰に隠れてアンテナから見えないものを含め、一度に大量のICタグのデータを読み取ることができる。

 これに対して13.56MHzのICタグの通信距離は最大70センチ程度と短く、データを読み書きするにはICタグとリーダー/ライターを近づける必要がある。2.45GHzのICタグの通信距離は1メートル強で13.56MHzより長いが、UHF帯のようにリーダー/ライターが発信する電波が物体を回り込む性質がない。

 ひと口にUHF帯ICタグといっても、使用する周波数は国によって異なる。米国は902M~928MHzを、欧州は869.4M~869.65MHzを、ICタグ専用に割り当てている。

 一方、日本には現在、ICタグ専用として割り当てられたUHF帯の周波数が存在しない。携帯電話やMCA(マルチ・チャネル・アクセス)無線が800MHzと900MHzの周波数帯をほぼ占有してきたためである。

 しかし、KDDIが2003年3月にPDC方式の携帯電話サービスを停止したことで、950M~956MHzに空きができた。この周波数がICタグ専用の周波数として使えるようになる見込みだ。総務省が2005年3月をめどに制度化する方向で検討を進めている。

 制度化に先だって総務省は、ICタグとリーダー/ライターとの通信に試験的に950M~956MHzを使用する許可を出し始めた。これを受けて2004年3月、UHF帯ICタグを使った実験が相次いだ。

 まず3月9日、家電製品協会が松下電器産業やソニーといった大手電機メーカー、メーカー系物流会社、家電量販店のデオデオとベスト電器の協力を得て実験をスタート。10日には関東圏でスーパーを展開するマルエツや、食品卸大手の菱食と雪印アクセスなどが実験を始めた。

 実験の結果、13.56MHzと2.45GHzに比べ、UHF帯ICタグの読み取り性能が高いことが立証された。例えば、家電製品協会がデオデオで実施した実験では、買い物かごに入れた10数個の商品に付いたICタグをレジに設置したリーダー/ライターで一度に読めた。マルエツが菱食の物流センターで実施した実験では、フォークリフトに積んだ複数の段ボール箱に付けたICタグのデータを3~4メートル離れた場所から同時に読み込めた。

(栗原)