Enterprise Application Integrationの略。異なる多数のシステム間で、容易にデータを連携できるようにする仕組みを指す。
現在、大半の企業は複数のシステムを動かして業務を処理している。通常、あるシステムで管理しているデータを、別のシステムで使うことは難しい。各システムは、その処理に最適な形でデータを管理しているため、項目や形式に整合性がないからだ。業務の効率化を考えればデータ連携を実施すべきなのに、実現できていないシステムが少なくない。
最近では、一つの企業内に限らず、企業間をまたがったデータ連携の必要性も増している。サプライチェーン管理を実行するために、仕入先や販売先とデータをやり取りする、といった具合だ。合併・買収に伴い、複数の基幹システムを統合する必要に迫られる企業も出てきた。EAIは、こうした問題に直面する企業のニーズにこたえるものだ。
最も簡単なEAIの方法は、データを連携したいシステム間のすべてに、データ連携用プログラムを用意することである。だがこの方法では、システムが一つ増えるたびに、いくつもの連携用プログラムが必要になってしまう。通常は、データ連携をつかさどる“ハブ”となるシステムを設置、各システムはハブを介してデータをやり取りする形態を採る。この形態を「ハブ&スポーク」と呼ぶ。
新規にシステムを追加する場合には、ハブとの接続を確保すれば、すでにハブに接続している他システムと容易にデータ連携できる。132ページの「ザ・プロジェクト」で取り上げたアイフルの新基盤システムは、ハブ&スポークの典型例である。
数年前からEAIのニーズの高まりに呼応して、ハブ&スポークのハブとしての機能を備えたEAIソフトが市場に投入され始めた。
EAIソフトは複数の異なるシステム同士でやりとりするデータを,指定したルールに従って変換して送信する。具体的には、多様なシステムと通信を確保するためのプロトコル変換機能、異なるシステム同士のデータ項目を対応づけるマッピング機能、データの内容に応じて送信先となるシステムを選択するルーティング機能などを備える。
当初は専門ベンダーによる製品が主流だったが、最近ではWebアプリケーション・サーバーのなかにもEAIの機能を持つ製品が登場してきた。ERPパッケージ(統合業務パッケージ)やデータベースのベンダーも、こういった機能を持つソフトを投入し始めた。
EAI専用ソフトとして登場した製品のいくつかは、単に個別システム間のデータを連携させるだけでなく、あらかじめ連携可能なシステムをつくるためのベースとなる「統合システム基盤」に進化しつつある。また、企業における業務の流れ(ビジネス・プロセス)を表すダイヤグラムを作成・修整するためのBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ツールとしての機能も強化している。