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村嶋 修一氏 ライプ IT技術統括部長

管理するルーター数を極力減らす 動的経路設定で管理負荷を削減

回線速度を決めただけではルーターを導入する準備が整ったとは言えない。導入後の管理・運用体制を想定した設定方法を最初に決めておくことが重要。導入・設定時の作業コストの抑制も考えるべき項目だ。

 A社は,新規構築したネットワークを社内に閉じて運用するため,ルーターの経路制御にはスタティック・ルーティングを採用する予定だった。ところが,新ネットワーク導入時のヒアリング調査から,支店の閉鎖や新規開設が年に数回発生していることが分かり,ダイナミック・ルーティングの採用を検討することにした。というのも,これまでの経験からスタティック・ルーティングが原因となるトラブルの増加が予測できたからだ。

 A社は,本社機能を持つオフィスが本社ビルとその近辺のビルに点在する状況だった。これらを結ぶ狭い範囲では,既にルーター・ネットワークをスタティック・ルーティングで運用していた。

 だが,この小さなネットワークを運用するのでさえも,サーバーの移設,オフィス移転に伴うトポロジ変更のたびに通信不能に陥るトラブルを何度も経験してきた。トラブルの多くは,ルーティング・テーブルの設定ミスが原因だった。

図2 ネットワーク接続拠点が増えたA社は経路管理にダイナミック・ルーティングを採用
スタティック・ルーティング方式は,小規模拠点の接続の場合は容易に導入できるが,ネットワーク・トポロジに変化を加えると,すべてのルーターに変化を反映させる作業が必要になる。A社は管理負担を減らすためダイナミック・ルーティングを導入した。

経路設定のトラブルを未然に防ぐ

 一般に,ルーターの台数が少なければ,スタティック・ルーティングでも十分運用できる。しかし,ルーターの台数が多くなるとルーティング・テーブルの書き換えは気が遠くなるような作業量になってしまう。

 また,遠隔地に設置したルーターをリモート操作する場合には,誤って設定してしまうと通信不能に陥り,修正のために現地に行かざるを得なくなる(図2[拡大表示])。本社ビル周辺という狭い範囲では対応は可能だが,移動に半日以上かかるような場所だと業務に与える影響は計り知れない。

 そこでA社は,遠隔地にある支社もネットワークに接続するのを機に,すべてのルーターの経路情報設定を,ダイナミック・ルーティングで統一することにした。経路情報プロトコルにはRIP2を採用した。こうすることでトラブルの発生する危険性を大幅に少なくできる。ダイナミック・ルーティングであれば,トポロジを変更しても,自律的にルーター間で情報をやり取りし,ルーティング・テーブルを更新するからだ。