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村嶋 修一氏 ライプ IT技術統括部長

DHCP使いクライアント管理を一元化

 拠点ごとのアドレス・ブロックの次は,LAN内の端末にアドレスを割り当てるルールが必要になる。B氏は,端末の種類別に使用できるアドレスを定めることにした。後半8ビット部分の情報を,例えばサーバーは1~30まで,プリンタは200~239までとした。

 このように使用可能なアドレス範囲を明示しておけば,将来,各部署でサーバーやプリンタを独自に追加した場合にも,職制上の部署の責任者に対し,適切なアドレスを割り当てるように指示できる。

 ただし,クライアント・パソコンのIPアドレスは,本社に設置したDHCPサーバーで一元的に管理し,自動的に割り当てる仕組みにした。パソコンは台数が多いため,拠点ごとに手作業で割り当てる方法では,同一アドレスを重複して割り当ててしまう可能性があるからだ。

図2 A社はネットワーク構成図を全体像と拠点ごとの詳細な情報の2通り作成した
 このため,A社はすべての拠点に「DHCPリレーエージェント機能」を持つルーターを導入した。この機能は,パソコンがIPアドレスを要求するために送信したブロードキャスト・パケットをルーターが判別し,本社ネットワークのDHCPサーバーに中継するもの。WANを介してアドレスを割り当てるにはこの機能が必須である。

ネットワーク図も作成ルールが必要

 次に,確立したアドレス割り当てルールが正しく運用されていることを把握するために,ネットワーク図が必要になる。

 ネットワーク図は,LAN上にどんな機器があり,それがどのアドレスを使っているのかを明示的に分かるようにするもの。小規模ネットワークの場合,端末とネットワーク全体の接続形態を一つの図に記入することは簡単である。しかし,ネットワークの規模が大きくなると情報量が多くなり,かえって見づらくなってしまう。

 B氏は,この問題を解決するために,各拠点の接続状況を示した「広域ネットワーク図」と,拠点ごとの端末まで表した「拠点ネットワーク図」の2種類を作成することにした。

 ネットワーク図の作成で重要なのはどこからどこまでを書き入れるかを整理することだ。B氏は,それぞれの図で最低限明示すべき項目をルール化し,作図した(図2[拡大表示])。

 ネットワーク図を作成したことで,B氏は,作業を手伝うシステム部員とも情報共有がしやすくなった。B氏が立てたルールにより,A社の拠点接続作業は順調に進む見通しが立った。