岡崎 俊二氏 マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン 副社長
問題を発見しメールなどで通知
エンドユーザーからWebサイトへのアクセス状態は,接続しているプロバイダや,インターネット上のDNSサーバーにも左右される。A社は,Webサイトの外から接続性やレスポンスを実測する必要性を痛感。検討の結果,パフォーマンス監視ツールを導入することにした。
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図1 A社が導入したパフォーマンス監視ツールの監視ポイント パフォーマンス監視ツールはWebブラウザとWebサイトの間のレスポンス時間を測定するだけではない。A社では,インターネット内やDNSサーバーを含め,どこに問題があるかの切り分けにも使用している。 |
複数個所からの監視で問題を特定
パフォーマンス監視ツールの導入にあたってA社は,B社のアクセス・ポイントからだけでなく,別のプロバイダであるC社とD社のアクセス・ポイントからもパフォーマンスを測定することにした。さらにWebサイト内のファイアウォールの外側からもレスポンスを測定することにした。問題の所在が自社,B社,B社以外のいずれにあるのかをはっきりさせるためだ。
測定は15分間隔にして,警報を発するのは2回連続してアクセスできなくなるか,レスポンスに15秒以上要することが2回続くときにした。
導入後まもなくA社は,パフォーマンス監視ツールからWebサイトにアクセスできなくなっているという警報を受け取った。ログを調べてみると,DNSエラーが発生していた。
A社は,Webサイト内とプロバイダに合計2台のDNSサーバーを設置している。調べてみると,Webサイト内のDNSサーバーは設定ミスで接続できなくなっていた。プロバイダに設置したDNSサーバーも障害に陥っていた。
A社は直ちにWebサイト内のDNSサーバーの設定を修正。同時にプロバイダ側に設置しているDNSサーバーについても,障害の解決を依頼した。
客観的な情報を示して改善を要求
導入1カ月後に,A社はパフォーマンス監視ツールで収集した情報を分析した。すると警報の発生には至っていないものの,B社とC社のアクセス・ポイントから測定したレスポンスが徐々に伸び,平均10秒を超えていることが分かった。一方,自社内のレスポンスは悪くなっておらず,アクセス回線の利用率も高くなかった。問題がB社にあることは明らかだった。
A社は情報を示しながら,B社に改善を強く申し入れた。レスポンスは顧客満足度を左右する重要な要素であり,改善できなければプロバイダの乗り換えも検討すると説明した。幸いなことに,その後レスポンスは改善され,現在ではほぼ満足できる品質でアクセスできるようになっている。