岡崎 俊二氏 マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン 副社長
監視内容でサービスを使い分け ライバル・サイトもチェック
証券業のE社は,株式取引用のWebサイトを構築した。金融取引にとってアクセス品質は重要と考えたE社は,当初からパフォーマンス監視ツールの導入を前提としていた。状況に応じて監視レベルを変える
拡大表示])。E社の導入目的は大きく分けて二つ。自社のレスポンス把握と他社のレスポンス情報の収集である。自社のレスポンスを他社と比較して優位なレベルに維持するために,同業他社のレスポンスとの比較情報も必要だと考えたのだ。製品やサービスにはそれぞれに特徴がある。一般に,製品は初期コストが高く,監視できる拠点に限界がある。一方サービスは,初期コストは不要だが,月額の料金が必要になる。また,それぞれ監視レベルや料金も大きく異なる(図2)。
E社は4社の製品/サービスを検討した結果,自社サイトには監視レベルが高いI社のサービスを使用することにした。I社のサービスであれば,インターネット内やWebサイト内の個別区間のレスポンスも測定可能。また,アクセスごとに自動的にパラメータを変えることで,Webサイト内のすべてのアプリケーション・サーバーやデータベース・サーバーを個別に監視できる。さらに,海外を含めた複数拠点からレスポンスを測定できることも決め手となった。E社ではコストとの兼ね合いも考えて5カ所から測定することにした。
他社Webサイトのパフォーマンス監視もI社のサービスを使用することにした。ただし,他社Webサイトはトップ・ページのレスポンスだけを計測する契約にした。
バナー広告による悪影響を発見
I社のパフォーマンス監視サービスは,レスポンス時間のしきい値を,警報を発するレベルと,注意を要するレベルの2種類設定する。I社が毎週発行するレポートは,しきい値によってレスポンスを3種類に分け,割合をグラフ表示するとともに,区間別やページ別,ページ構成要素別の詳細情報も提供する。
E社の場合,警報はほとんど発生していなかった。ただ,監視結果を分析すると,注意レベルを超えている部分が二つ見つかった。
一つは,あるプロバイダから接続している部分。区間ごとのレスポンスを分析すると,プロバイダ間の接続に問題があることは明らかだった(図3[拡大表示])。
もう一つは,特定のページの表示。こちらのレスポンスをページ構成要素ごとに分析すると,バナー広告のダウンロード時間の遅さが,ページ全体のレスポンスに影響を与えていた。E社が提携する金融機関のバナー広告に問題があったのだ。
E社は,早速プロバイダと提携金融機関に改善を申し入れた。I社のパフォーマンス監視サービスでは,Webサイト内もサーバー別やアプリケーション別の分析が可能である。ただE社の場合,問題はすべてWebサイトの外だった。レスポンス悪化は,自社Webサイト以外に問題があることも多い。